こんにゃくはスーパー食材!? 大腸がん予防、糖尿病改善 群馬大が詳細に研究
産経ニュース / 2025年1月7日 8時0分
国内生産量の95%が群馬県で生産されている「こんにゃく」。地味で、消費量も頭打ちだが、主成分グルコマンナンやセラミドが有する健康効果に着目した地元・群馬大(石崎泰樹学長)の研究者が大腸がん予防や糖尿病の改善、皮膚疾患予防に美肌効果(保湿性)、アルツハイマー型認知症予防効果について詳細に研究し、成果をまとめた。医食同源の観点から多彩な効能はスーパー食材の趣も。地元農家のためにも消費喚起につなげたい意向だ。
マウスで検証
群馬大は「食と健康」に関する学術研究と人材育成、さらに地元農業を中心とする地域産業振興を目指して平成29年12月、食健康科学教育研究センターを設立した。令和7年春からは大学院(修士)もスタートさせる。
生活習慣病発症に関する基礎研究や健康長寿脳の分子レベルでの解明などとともに、群馬の伝統食材こんにゃくの健康効果の解明も大きなテーマだ。
こんにゃくの主成分、水溶性食物繊維のグルコマンナンは体内での消化が遅く水分を含むと増量し、腸では腸壁を刺激して排便を促す。整腸作用は知られていたが、腸内細菌(善玉菌)の餌となり繁殖を促すことで免疫力は上がり、抗炎症作用や皮膚疾患予防、脂質代謝の改善などを促し、大腸がん予防も期待できる。
群馬大の検証では、マウスにグルコマンナンを含む餌や水を投与すると、大腸がんの発生数やがん細胞の生着率は抑制された。こんにゃく消費額が全国一の山形市の直腸がん罹患(りかん)率が低いことなどの傾向も確認している。
血糖値を抑制
糖尿病予防では同県昭和村のグリーンリーフ社が開発した「こんにゃく粥(がゆ)」の血糖値抑制テストを実施。通常の五分粥、こんにゃく粉を0・4%、0・8%含有したこんにゃく粥の3種で摂食後の血糖値を比較したところ、含有量に比例した有意な効果を確認した。特に糖尿病予備軍に対して効果は高く、予防効果が期待できるという。
同様の方法で中性脂肪の血中濃度を調べると、こんにゃく粥の摂食後、低下が認められた。調査した村上正巳名誉教授によると、同時に行ったサプリメントによる検証では粥ほど有意な結果は得られず、さらなる検証は必要という。「それも含め、詳細なメカニズムを明らかにすることが今後の課題」としている。
群馬大のお墨付きを得たグリーンリーフ社は「とろみこんにゃく入り有機おかゆ」(250グラム税込み250円)として全国向けに販売。世界にはクッパ(韓国)、リゾット(イタリア)、パエリア(スペイン)などがあり潜在的市場は広い。「世界の患者1%が週2回食べたら950億円になる」と意気込む。
認知症予防には「50歳前後から摂食」
肌の潤いを保つ必須成分セラミドも、特に生芋こんにゃくが含有率で他の食物を圧倒している。体内では年齢とともに減少し50代は10代の半分程度になって、その後も減り続ける。摂食などにより美肌効果のほか、アトピー性皮膚炎などのアレルギー反応の抑制効果も確認されている。
さらに認知症の7割を占めるアルツハイマー型の進行を抑制する効果も確認された。症状は「アミロイドβ」という異常なタンパク質が大脳皮質や海馬に蓄積されて発症するとされ、その蓄積をセラミドが抑制する。担当の向井克之客員教授は「15から20年、ときに30年かけて蓄積され一定量に達すると発症する」と解説した上で、「50歳前後から食事などで摂食を続ければ、発症リスクは低減される」と指摘する。
支出額50都市中45位…寂しい一大拠点
一方で、こんにゃく芋は収穫量も価格も、各都市ごとの支出額も年々落ちている。関東農政局群馬県拠点によると、国内の9割以上を生産する地元・群馬の消費量が芳しくないのが痛いという。県庁所在地など全国50都市を対象にした令和5年度総務省「家計調査」から、前橋市のこんにゃく製品の年間支出額は1392円で45位。首位・山形市の半分以下で、一大生産拠点としては寂しい。
広範囲な健康効果が知られていない面もある。群馬大では、こんにゃく芋を原料にした「こんにゃくビール」を地元・嬬恋村の浅間高原麦酒と共同開発し、県内のファミリーマートで限定販売した。330ミリリットル税込み704円で6年6月の550本は即完売し、12月に2千本を53店舗に並べた。粥ほどの効能はないが、起爆剤に、と期待する。
鍋の季節。健康と美容のため、こんにゃく、シラタキは多めに入れてみては?
(風間正人)
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