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「歩くことを諦めない」…7歳難病ユーチューバーりおなちゃんが取り組むサイバニクス治療

産経ニュース / 2024年7月26日 8時0分

下肢タイプのHALを装着し歩行訓練を行うりおなちゃん

背骨がねじれて曲がる難病の脊柱側弯症矯正のため5歳で手術を受けた後、胸から下が麻痺して歩けなくなってしまった愛媛県在住の小学2年の人気ユーチューバー「りおな」ちゃん(7)。週1回のペースで「岡山ロボケアセンター」(倉敷市)に通い、世界初の装着型サイボーグ「HAL(ハル)」で機能回復を図るサイバニクス治療を受けている。複数の医療機関などで再生医療やリハビリに取り組み、りおなちゃんは自分の足で歩ける日を信じてひたむきに励んでいる。

リハビリ施設に週1回通所

りおなちゃんは、先天性の骨系統疾患の疑いがあり、背骨が内臓を圧迫して危険な状態となり令和4年5月に手術。麻痺によって歩けなくなった。3歳のときに低身長症と診断され、身長は98センチという。

りおなちゃんの両親は、難病の娘の存在を広く知ってもらい将来的に支えてもらえる状況を望み、さまざまなリスクを承知のうえでYou Tubeをやることを娘に勧め、令和4年12月に開始。パパをお説教するなど家族との軽妙なやり取りが受け、「ちいりおちゃんねる」の登録者数は145万人、総再生回数6億9000万回を超える。

Kポップ好きが高じて今年6月にハングル能力検定に挑戦し、5級に合格。自ら作詞した楽曲の発表、母との共著出版など、多彩な才能をみせている。

週に4日は通学し、原則として週に1日、岡山ロボケアセンターなど愛媛県外2カ所の施設でリハビリを、大阪府内で再生医療を月1回程度、受けている。

体内の電位信号をキャッチ

人とロボット、情報を融合したサイバニクスによる治療は、脊髄損傷や脳卒中、神経筋難病疾患の患者に対し、HALを用いて身体機能の改善・補助・再生を目指す。個人差はあるが、短期間で機能が劇的に改善した事例も報告されているという。HALは医療用と自立支援用に大別され、下肢や単関節、腰などのタイプなどがある。

治療は、人が体を動かそうとするときに脳から神経を通じて発せられる微弱な「生体電位信号」をセンサーでとらえ、意思に従った動作を行った後、脳が体の動きを再学習するしくみ。

筑波大教授でサイバーダイン社(茨城県つくば市)の山海嘉之社長は、「人工脳に事前に人間の歩き方を教え、生体電位信号に従ってHALが正しい動作へ誘導する。事前のプログラミングで動くのではない」と説明。HALを外した後に機能が高まる状態がくると語る。

山海さんによると、臨床研究と治験を重ね、薬の効果がないとされる進行性の神経筋疾患、ALS(筋萎縮性側索硬化症)などでHALを用いて機能改善がみられたという。

ドイツで世界初の公的保険適用が認められるなど、世界約20カ国に広がる。日本では神経筋疾患のみだが、米国や欧州、中東、アジアなどで、脳卒中、脊髄損傷・疾患、神経筋疾患の全領域で医療機器として承認されているという。

ロボケアセンターはサイバーダイン社が出資しサイバニクス治療を実践するスポーツジム施設で、全国に17カ所。岡山ロボケアセンターは5周年を迎えた。アスリートや高齢者向けの各プログラム、障害のある人たちの機能獲得トレーニングなど幅広く取り組む。HALレンタル販売と、HALを使ったプログラムを実施している。

身体を動かせて楽しい

りおなちゃんの岡山ロボケアセンターでのリハビリは、スタッフに支えられ「腰HAL」を着けて立ったり座ったりを繰り返す動作から始まる。子供用下肢HALを装着し、スタッフに後ろからサポートされ、ルームランナーのような装置の上につり下げられ、約10分間の歩行を休憩を挟んで3本実施。最後にHALを外して歩行訓練を行う。

りおなちゃんは「歩けていたときは何も意識せずともできていたが、今は『右出せ、左出せ』って思いながら歩いているイメージ。HALが助けてくれているように感じる。私はふだんリハビリでしか身体を動かすことがないので身体を動かせて楽しい」と説明する。

その上で、「今までと変わらず、歩くことをあきらめずに頑張っていきたい」と力強く語る。(和田基宏)

りおなちゃんの公式インタグラムが7月22日に更新され、2年前の手術で入れた金属の棒が折れて手術の必要性があることを母親が明かしました。当面は静養し、ユーチューブなどはしばらく休止するとのことです。なお、このインタビューは6月下旬に行いました。

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