真夏のミステリー? 喉が渇いたノラ猫さんの首にハマってしまう謎の輪っか ねこから目線。の現場から
産経ニュース / 2024年7月27日 12時0分
長い梅雨が明けたかと思うと、暑い日が続くようになってきました。毎年、夏には必ず数件来る猫さんの相談があります。
今年もさっそく関西の保護猫活動をしている団体さんからお電話がありました。「猫の首に何か硬そうなものがぶら下がっている。とても邪魔そうなので、取ってあげたいものの、どうしても捕まらないので捕獲に来てほしい」という内容でした。急いで道具を積み込み、車を走らせます。
「暑くなってきたから、きっとアレだろうな…。ボランティア団体でも保護できないということは、通常タイプの保護ケージでは無理だろうから、警戒の強い猫さん向けの大型トラップでいこうか」などと考えながら現場に到着すると、そこにはたくさんのノラ猫さんがいました。
みんな不妊手術済みの印の耳カットが入っており、保護猫活動団体さんがTNR(不妊手術をして元の場所に戻すこと)を実施して、地域の方がご飯をあげて見守っている子たちでした。
大型のトラップを組み立て、たっぷりご飯を用意してターゲットの猫さんを待ちます。1時間ほど経過したところで、ターゲットの猫さんが現れました。首には硬そうな輪っかがついています。それは予想通り、「じょうろの蓋」でした。
これが毎年、夏になると必ずと言っていいほど対応している事案です。何が起こっているのかというと、暑くて喉が渇いた猫さんはどこかにお水がないかとあちこち探し回ります。じょうろの中に少し残った水を見つけると、狭い入り口に何とか頭を突っ込んで中の水を飲みます。飲み終えて顔を上げたときに、じょうろの蓋が外れて、首にはまった状態になってしまうことがあるのです。
じょうろの蓋自体は直接的なけがの要因にはなりにくいですが、狭い通路が通れなくなってしまったり、じょうろの蓋が擦れて、皮膚が切れたり、ただれてしまったりと、はまった状態が長期化するとけがや事故につながってしまいます。
早く保護して外してあげなければいけませんが、じょうろの蓋にはまってしまった猫さんは神経質になり、警戒心が強まっていることが多いです。トラップの方に来てくれるまで根気強く、1時間、2時間と待ちます。
他のノラ猫さんたちが、トラップ内のご飯を食べて出ていく様子をじっと観察しているターゲットの猫さん。2時間たっても何も起きないことを確認して、やっと動きだしました。警戒しながらも、仲間と一緒にトラップの中に入りご飯を食べ始め、安全な位置まで入ったことを確認してトラップを作動させ、保護完了です!
ケージの中で怒って暴れる猫さん。ごめんね、驚いたよね。でも少し辛抱して、首の邪魔なやつを取ってもらおうね。猫さんが捕まったところで、ザーッと雨が降り出しました。
じょうろの蓋を外すだけであればその場でもできますがけがをしている可能性もあるので、動物病院で診察と処置をしてもらう方が安心です。今回は相談をくださった団体さんが翌日に動物病院へ連れていってくれました。幸いけがはなく、蓋を外してもらって元の場所に戻されました。翌日からはスッキリした首で、仲間と一緒にご飯を食べに来ているそうです。
暑い日が続いています。熱せられたコンクリートで肉球をやけどしてしまったり、最悪熱中症で亡くなってしまうノラ猫さんもいます。もし、庭や勝手口など人目に付かず、日陰になるような場所がある方は、ぜひノラ猫さんのために飲み水を置いてあげてください。小さな優しさで、救われる子たちがいます。
安全に飲める、新鮮なお水があるという私たちにとっては当たり前のことが、過酷な外で暮らすノラ猫さんには、貴重なことなんですよね。
◇
大阪を拠点に、猫にメリットがあると思えることなら何でもお手伝いする「猫の便利屋さん」を営む小池英梨子さん。ネコの目線で取り組む活動から見えるあれこれを、月1回つづってもらいます。
小池英梨子
立命館大学大学院応用人間科学研究科対人援助学領域修了。「ねこから目線株式会社」(大阪市)代表、「人もねこも一緒に支援プロジェクト」(NPO法人)代表。平成16年から猫の保護譲渡やTNR活動をスタート。大学院でノラ猫をテーマに「共生と共存社会のリアリティ」について研究し、29年に猫の多頭飼育崩壊など、ヒトの福祉と猫問題への並行支援が必要なケースに対応するため「人もねこも一緒に支援プロジェクト」を立ち上げる。30年に保護猫・ノラ猫専門のお手伝い屋さん「ねこから目線。」を設立。京都、福岡、沖縄にも拠点を置き、ライスワークもライフワークも猫にまみれている。
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