網戸にしたい夏に頻発「迷子猫」 観察・張り込み捕獲に1カ月も…捜索は心と体の忍耐勝負 ねこから目線。の現場から
産経ニュース / 2024年6月22日 12時0分
網戸で風通しを良くしたい季節になりました。この時期、ぐっと増える依頼が迷子猫捜しです。
「昨夜、網戸にして換気していたら飼い猫が網戸を開けて外に出てしまいました。マンションの2階ですが、気付いたときには1階の共有スペースにいました。慌てて行ったんですが、見失ってしまいました…」という猫さんの現場に伺いました。最後に猫さんを見かけた場所はフェンスで囲われていますが、猫さんなら通れる隙間があちらこちらにあります。
じっくり観察すると、白い毛が数本ついている場所が1カ所ありました。どうやらこの隙間を通って裏の会社のバックヤードに入ったようです。事情を説明して中に入らせていただき、物置の下や排水溝をのぞいていくと、物陰に隠れた排水溝の部分に迷子の猫さんがいました。好奇心でお外に出てみたものの、知らない人や車の音に怖くなって、溝に隠れてじっとしていたようです。
飼い主さんにも来ていただき、そっと声掛けをしてもらいながら無事に保護することができました。迷子になった翌日の連絡だったので毛の痕跡をたどることができ、猫さんが移動してしまう前に見つけてあげることができました。
交流サイト(SNS)では、ハーネスをつけて楽しそうに散歩する猫さんの動画が人気を集めていますが、それは猫さんがリードで散歩できることが珍しいからです。「4日前、ハーネスとリードをつけて公園でお散歩デビューさせようとしたら、パニックになってリードを抜けて逃げてしまいました」という猫さんのケースでは、日数がたっているのに加えて広い場所から走り去っているため、痕跡がたどれません。やみくもに捜すとかえって追い払うことにもなりかねないため、近隣の方に事情を説明して観察用の小型カメラと餌を設置していきました。
翌朝確認すると、山沿いの茂み近くに設置した1つのカメラにノラ猫さん、アライグマ、ウサギ、とバリエーション豊かなメンバーが登場する隙間に迷子の猫さんが写っていました! さっそく近くに捕獲器とカメラを設置し、張り込み捕獲を開始します。
待つこと2時間、迷子の猫さんが登場! 順調に保護ケージに近寄りましたが、何かに驚いて走り去ってしまいました。でも、ケージの中にご飯があることは認識したはず。また戻ってくると信じてさらに待つこと3時間、再び登場した猫さんがついにケージにイン! 時刻は深夜1時半になっていました。
飼い主さんに報告し、おうちに猫さんを連れて行きます。車の中では全く鳴きませんでしたが、インターホンから飼い主さんの声が聞こえてきた瞬間から「ニャー! ニャー!」と鳴き出しました。怖かったね、帰りたかったね。
以前、ある県警に問い合わせたところ、1年間に迷子猫の遺失物届は千件ほどあると聞いたことがあります。迷子は決して珍しいことではなく、誰にでも起こり得ます。慌てずに落ち着いて対処することがとっても大切です。
捜索は1日で保護できることもあれば、1カ月の長期戦になることもあり、心と体の忍耐勝負です。なかなか手がかりがつかめないと、自分から外に出たから家が嫌だったんじゃないか、と考えてしまい、捜すのがつらくなってしまう飼い主さんもいます。
もちろん、外に出たきっかけは好奇心や、家の環境が変わったストレスで出てしまった子もいると思います。しかし、やはり外の生活は相当過酷なのか、無事に家に戻れると迷子になる前よりずっと甘えん坊になる子が多いです。だからこそ、諦めずに捜していただきたいと思います。「ねこから目線。」では、適切に捜索手順を踏むこと、飼い主さんの心が折れないようにサポートすることを心がけています。
◇
大阪を拠点に、猫にメリットがあると思えることなら何でもお手伝いする「猫の便利屋さん」を営む小池英梨子さん。ネコの目線で取り組む活動から見えるあれこれを、月1回つづってもらいます。
小池英梨子
立命館大学大学院応用人間科学研究科対人援助学領域修了。「ねこから目線株式会社」(大阪市)代表、「人もねこも一緒に支援プロジェクト」(NPO法人)代表。平成16年から猫の保護譲渡やTNR活動をスタート。大学院でノラ猫をテーマに「共生と共存社会のリアリティ」について研究し、29年に猫の多頭飼育崩壊など、ヒトの福祉と猫問題への並行支援が必要なケースに対応するため「人もねこも一緒に支援プロジェクト」を立ち上げる。30年に保護猫・ノラ猫専門のお手伝い屋さん「ねこから目線。」を設立。京都、福岡、沖縄にも拠点を置き、ライスワークもライフワークも猫にまみれている。
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