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創業地・小豆島を「ごまの島」へ 国内トップシェア「かどや製油」の166年目の恩返し

産経ニュース / 2024年6月14日 9時0分

プロジェクトのごまの種まきをする岡野能之町長(左)、井尻尚宏常務(中央)ら関係者

国産オリーブオイルの一大製造拠点として知られる小豆島(香川県)は、ごま油の国内トップシェア「かどや製油」(本社・東京都品川区)の発祥の地でもある。主力工場が小豆島で稼働しており、同社は地元の土庄町などと連携し、「ごま」をキーワードに地域の活性化を目指すプロジェクトを立ち上げた。同社が育った小豆島への恩返しの思いも込められており、井尻尚宏・同社常務は「島の方々と協力して、食の小豆島ブランドを確立していきたい」と意気込んでいる。

主力は純正ごま油

風光明媚(めいび)な小豆島は、漫画・アニメ・ドラマ・映画で展開されている「からかい上手の高木さん」の舞台・聖地としても脚光を浴びている。この島で加登屋製油所が安政5(1858)年に創業し、166年の年月を重ねた。

主力の金印純正ごま油をはじめ濃口や特定保健用食品、太白といったごま油、いりごま、すりごまなどの商品があるが、原料は主に東南アジアや中南米、アフリカから輸入している。ごま油の年間生産量は昨年度実績ベースで約2万3000トンとなっている。

小豆島工場は面積5万平方メートル、従業員約200人。選別、焙煎、圧搾、濾過(ろか)の後、タンクで2週間静置、仕上げ濾過、充塡(じゅうてん)という製造工程で、5班体制、1日4交代制で24時間2週間連続稼働する。

休耕田でごま栽培開始

今年5月に設立されたのは、「ごまのみらい小豆島プロジェクト」。「ごま」をキーワードに種々の地域課題解決を探る地域創生プロジェクトだ。キックオフセレモニーとして、関係者によるごまの種まきが伊喜末(いぎすえ)地区の休耕田の畑で行われた。

栽培は伊喜末地区で農業振興に取り組む生産者グループ「小豆島 陽当(ひあたり)の里 伊喜末」に委託する。本年度の栽培面積は1013平方メートルで、来年度は3倍程度に増やすという。

主な活動予定は、小学生によるごまの生育観察や工場見学、住民や子供たちによるごまの収穫など。7月に開花、9月に刈り取り、11月に地元小中学生への食育「ごまんぞく給食」への提供というスケジュールだ。初年度はごま油を製造するほどの収穫量は難しい見込みで、同社のごま専門カフェ&ダイニング「goma to」(東京・自由が丘)でのメニュー提供や、島内の飲食店での展開などを検討している。

国産金ごま油を視野に

同社では、栄養価のより高い金ごまを島内で栽培し、ごまを活用した地域貢献に挑む。「少子高齢化や人口減が進めば創業の地で事業を続けていくことが難しくなる。島に雇用や産業を残すことが重要」と井尻常務。町と連携することで、集落営農をはじめとする農業やごま油製造業の維持、遊休地の有効活用、雇用創出、食育による次世代への継承などを目指す。

毎年、一定量の増産を進め、将来的に、ごまを小豆島ブランドに育てられる程度の収穫を目指し、国産金ごまを原料にしたごま油による新しいブランディングを視野に入れる。

岡野能之町長は「地域資源を生かした地域活性化が求められている。未来を築く取り組みにしたい」と決意を示す。町商工観光課の担当者も「世界的にもブランド力があり知名度が高いかどや製油との連携はありがたい。小豆島にごま油の工場があることを知らない子供もいる。収獲体験、工場見学といった食育の流れの中で健康や愛郷心などの意識を育んでいきたい」と期待している。(和田基宏)

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