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滝行、ギャルとコラボ 「ぐんまちゃん」異色CMが話題に 30周年記念で悩める内面表現

産経ニュース / 2024年11月24日 12時0分

ギャルの助言にじっと耳を傾けるぐんまちゃんCM第3弾(群馬県提供)

群馬県のマスコットキャラクター「ぐんまちゃん」の活動30周年の記念事業として第3弾まで制作・配信したウエブCMの内容が、従来のコンセプトとは異なる「悩める内面」を表現していると話題を呼んでいる。ご当地キャラの中でも「癒やし」「かわいらしさ」に徹してきたが、CMは滝行、ギャルとのやり取りなどを通じて「それだけでいいの?」と問う異色の内容となる。県では「ぐんまちゃんを、より深く知ってもらえれば」としている。

「ゆるいだけじゃ、きつい」

滝に打たれる第1弾は7月9日、「県宣伝部長の重責に堪えるには強い精神力が必要」とのナレーションとともに流れた。本物の滝の下、撮影スタッフの指示で位置取りをするメイキング映像もあり、再生回数は約62万5000回。

9月26日公開の第2弾は、群馬県出身の俳優・中村俊介さんが、きつめのメークで後輩で宿敵役の「ぐんまさん」にふんして登場。メーク以上に「先輩、この先、ゆるいだけじゃ、きついっすよ」のセリフと、その言葉に固まるぐんまちゃんの映像が面白い。こちらもメイキング映像あり。再生回数約24万回。

最近、テレビドラマで再注目のギャルと絡む第3弾は10月31日公開。こちらもキャラクターへの注文で、「今、チヤホヤされるのって、弱みを見せるキャラなの。あんたからはまだプライド、感じるんだって。捨てなよ、そんなもん」とくる。最後に「頑張れよ、群馬代表」と言われ、ハッと振り向く、ぐんまちゃん。再生数は約13万回(いずれも11月11日現在)。

知名度、好感度は第2集団

「ゆるキャラ」が商標登録された平成16(2004)年から、さらに10年さかのぼる6年、ぐんまちゃんは群馬県で開催された第3回ゆうあいピック(全国知的障害者スポーツ大会)のマスコットキャラクターとして産声をあげた。以来30年、活動歴は長く、24年に県宣伝部長に就任、2年後、ゆるキャラグランプリを獲得し全国区となった。

とはいえ、日本リサーチセンターによる今年の全国キャラクター調査を見ても、後発のくまモン(熊本県、動開始22年)、ふなっしー(千葉県船橋市、同23年)のトップグループを追う第2集団の一角といった位置づけで、昨年までと変わらない。

「やんちゃ」なくまモン、「破天荒」なふなっしーに比べ、「かわいい癒やし系」のぐんまちゃんには、心に刺さるエッジが足りないのでは…。そんな指摘に応えるようなCMの展開に「ぐんまちゃんのキャラ変更か?」との思いも抱かせたが、県ぐんまちゃん推進室の答えは、「そんなことはありません」。

変更したのはキャラではなく…

群馬県は、令和元年に就任した山本一太知事の方針で県庁内に放送スタジオを設置、インターネットを通じて職員が映像情報を制作・発信している。当初は心もとなかったが、最近は熟練度を強め、5年度の全動画再生回数は3947万回に及んだ。そのうち2000万回以上が、ぐんまちゃん関連だという。

人気動画は、3年と5年にテレビ放映されたアニメやインスタライブなどで、文字通り、ぐんまちゃんは群馬県のキラーコンテンツで、おいそれとはキャラ変更できない。変更したのは「動画の描き方」(ぐんまちゃん推進室)。

滝に打たれて内省を強めたり、宿敵の言葉やギャルの忠告に固まったりする姿は、おそらく2000万回再生された動画には見られない作り方だ。メイキング動画を見れば分かるように今回は県職員単独ではなく制作会社も絡んでいるが、最終的な方針は県側が下したという。

その狙いは「従来よりインパクトを強めて、認知度を高めたいということ。30周年でもあり次の10年、20年先を目指してということ」(同)。インパクトは強めつつ、「癒し系キャラ」は不変という。周年事業とすれば、第3弾でウエブCMは終了するのだろうか。

「それは反響などを見ながら決めるので、まだ続行か終わりかは未定です」(同)

(風間正人)

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