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「ゴマはすらない」…与党に屈せず中学給食無償化実現 維新系市長の「ガチンコ闘争宣言」

産経ニュース / 2024年6月10日 11時0分

警視庁では約2年半、交番で勤務した

自民、公明両党が推薦した現職らを破り、京都府内初の日本維新の会系首長となった同府舞鶴市の鴨田秋津(かもだ・あきつ)市長(42)。昨年2月の就任から1年余り、公約の実現などを巡り、自民党会派を中心に前市長を支援した議員が大多数を占める市議会との対立が続いている。議会との〝バトル〟は今後も激しさを増すとみられる中、「膝を屈して、ゴマをすれといわれても絶対にしない」と一歩も引かない構えだ。

前市長支援の市議が3分の2

市長選では市長報酬の3割カット、退職金ゼロといった「身を切る改革」や学校給食無償化などを掲げて支持を集め、現職に約4千票差を付けて当選した。

とはいえ、舞鶴市は自民党が強固な地盤を誇る地域だ。定数25の市議会で自民会派を含めて前市長を支援した議員は約3分の2に上るのに対し、鴨田市長を支える会派の議員は3人。「議会とのなれ合いを排し、停滞する政治を改革したい」との思いは強いが、「数の論理」が立ちふさがる。

昨年の6月定例会。自民を含む保守系会派の議員らは、副市長人事案が最終日の追加議案として提出されたことを問題視し「議会軽視」「議会との信頼関係を損ねた」などと反発、不同意となった。これに対し鴨田氏は「反対のための反対だ、感情論で反対した」と批判。定例会最終日の人事案提出についても「これまでのルールに沿ったもの」と反論したが、同意が得られるまでの約半年間、副市長不在の異例の事態となった。

その後も、市内の交流施設の指定管理者を選定する条例案が市議会で否決されたため急遽(きゅうきょ)、市の直営になったほか、同交流施設を巡る保守系会派の広報紙の内容を市が公式ホームページで批判したとして鴨田氏への問責決議案が可決されるなど、両者の対立はヒートアップしていった。

中学校給食の無償化にも議会が〝待った〟

記憶に新しいのが、鴨田氏にとって初めての通年予算となった令和6年度当初予算案に盛り込まれた中学校給食の無償化だ。公約で掲げていた目玉政策で、実現されれば京都府内の市では初の実施となるものだった。

当初予算案には事業費9760万円が計上され、財源にはふるさと納税の寄付金を充てるとしていた。これに対し、保守系の2会派はふるさと納税の寄付金は「増減の変化がある不安定財源だ」などと主張し、無償化事業を削除した当初予算案の修正案を提案した。

ところが、修正案には無償化を見込んで2学期以降の給食費の物価高騰分の公費負担と、経済的に苦しい準要保護世帯への全額援助に必要な予算2千万円が計上されていなかった。修正案が可決されれば保護者負担が増える恐れがあることが提案後に判明し、2会派は修正案を撤回。無償化事業を削除する一方、公費負担や援助を継続するため、ふるさと納税の寄付金を財源にして2千万円を充てる再修正案を提案。他会派の議員からは「不安定財源だからだめだと言っていた、ふるさと納税の寄付金を(財源に)もってくるのはいかがなものか」「無責任だ」といった声があがったものの、可決された。

こうした議会の動きに市民らが反発。ネットで無償化実現を求める署名運動が展開される中、鴨田氏は審議をやり直す「再議」を申し立てた。採決は賛成13、反対11と拮抗(きっこう)。再議に付された議案の可決には議長を含めた出席議員の3分の2以上の賛成が必要なため、「いけると思った」(鴨田氏)。再修正案は否決、無償化事業を盛り込んだ原案が可決された。

推薦の維新は「ちょっとふがいない」

とはいえ今後も議会との衝突が続く可能性はある。鴨田氏は「(議会を)いたずらに見下したり、仮想敵にしたりすることはない。丁寧に説明するなど、今まで通りやるだけで特別なことはしない」と強調する。

一方で、給食無償化を巡るやりとりなどを通し「議会はおかしい。市長のために市議選に出たい、市議になって建設的な議論がしたいという人も現れた」と明かす。その上で「今後、地域政党を立ち上げるかは別として、勉強会を開いたり、塾長みたいなものになってみたりすることは選択肢の一つだ」と展望を語る。

次の市議選を見据えた発言とみられるが、所属する維新は支持率が伸び悩み、勢いに限りが見え始めている。「目新しい政策もないし、ちょっとふがいなさを感じる。〝風〟で当選した地方議員が多いからか、不祥事も多い」と鴨田氏。「首長なので党利党略では動かないが、維新に勢いがあれば『市長の言うことは聞いていた方がいい』となるかもしれない」と、党勢拡大への期待ものぞかせた。(橋本亮)

■鴨田秋津氏 昭和56年、京都府舞鶴市生まれ。拓殖大卒業後、警視庁に入庁。交番で約2年半勤務し、次の異動で暴力団担当刑事にと内示を受けていたが、建設会社を営む父親の頼みもあり舞鶴に戻った。平成30年の舞鶴市議選で初当選。日本維新の会京都府総支部の単独推薦を受けて立候補した令和5年2月の舞鶴市長選で初当選を果たした。小学5年から始めた柔道は5段の腕前。

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