大阪国際女子マラソン、日本記録更新なるか 前田穂南のコーチが語る鍵は「仕掛ける勇気」
産経ニュース / 2025年1月23日 12時0分
「第44回大阪国際女子マラソン」(産経新聞社など主催、奥村組協賛)が26日にヤンマースタジアム長居(大阪市東住吉区)発着のコースで行われる。昨年の第43回大会で前田穂南(天満屋)が2時間18分59秒の日本新記録を樹立したのは記憶に新しい。2005年のベルリン・マラソンで野口みずきさんが2時間19分12秒をマークして以来、約19年ぶりに新記録が誕生し、止まっていた時計の針が再び動き出した瞬間だった。なぜ、日本記録誕生のレースが実現したのか、日本女子のさらなる記録更新の可能性はあるのか-。前田の指導者である武冨豊専任コーチ(当時は監督)に話を聞いた。
--大阪国際は23年の第42回大会からコースが変更され、御堂筋の折り返しがなくなり、中間点付近にアップダウンが設けられました。コースの印象はどうでしたか
「折り返しやアップダウンは選手によって好みの違いがあると思いますが、やはり特徴としてはハーフまでが平坦(へいたん)でリズムに乗りやすい。中間点までにどういう感覚で走れるかがポイントだと思っていました。レース前のペースメーカーの設定よりも少し速いラップで展開したので、逆にそれがよかったなと思いましたね。数秒ずつの積み重ねが日本記録にもつながったと思います」
--ペースメーカーが30キロまで設定されている中、前田選手が中間点付近でペースメーカーの前に出て、自ら仕掛けるレースを展開しました。前田選手は18年の第37回大会でも、先頭集団の中から25キロで飛び出すレースをみせたことがありましたね
「18年は前田はまだ21歳でした。自分で仕掛ける勇気がある選手なのかを試すために、25キロで勝負する指示を出していました。それ以降のレースでも、本人が『ここで勝負』という判断ができたときがいい結果が出せていると思います。誰かの後ろをついていって我慢して勝負するのではなかなか好結果は出せません。記録を狙うのであれば、ペースメーカーを置いていくぐらいの勇気が必要です。昨年は15キロをすぎたら自分がいけるところで判断してくれたらと想定していました。終盤にウォルケネシュ・エデサ選手(エチオピア)に抜かれましたが、その後も粘れたし、彼女が前にいたことが日本記録を出せた要因だと思います」
--国内レースでは30キロ以降、アフリカ勢のペースアップに日本選手が対応できないケースがよくあります。そのためにも早めの仕掛けが必要でしょうか
「やはり終盤の勝負になると、1万メートルのスピードも違うので、勝てる可能性はどんどん減ってくると思うんですよね。勝機をつかむとすれば、自分がいけると思ったときに勝負をかけること。2000年シドニー五輪の高橋尚子さんや04年アテネ五輪で野口みずきさんが金メダルを取ったときも、早めに仕掛けて最後まで逃げ切るレースでしたよね。やはり日本人選手にはそういうレースが合っていると思いますね」
--レース前から「2時間20分を切る練習は積んできた」と話していましたね。当時の前田選手の自己記録は23年名古屋ウィメンズで出した2時間22分32秒でしたが、自信を持ってスタートラインに送り出せましたか
「名古屋ウィメンズの前は足を痛めていた時期もあって、距離走も途中でやめてしまうこともありました。その練習で2時間22分32秒で走れたので、23年秋のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)に向けては、記録を狙っていくような練習に切り替えました。MGCのレースは雨に見舞われた影響もあって失敗したんですが、大阪国際までしっかり練習を継続して積み上げができていたので、2時間20分は切れる自信はありました。この練習をしたから2時間18分台のタイムを出せたという手応えをつかめたことが一番うれしかったですね」
--過去に日本人選手が2時間19分台をマークしたのは海外レースばかりでした。国内レースで「2時間20分の壁」が大きくなっていたのはなぜでしょうか
「ベルリン・マラソンでは男子選手の力を借りることもできますが、国内レースではもともとペースメーカーの設定が2時間20分を切るラインではなく、なかなかチャレンジする場がなかったと思います。日本人選手にとっては国内レースの方がコンディション作りは楽だとは思うので、ペース設定が上がっていけばチャレンジする選手も出てくるでしょう。2時間20~22分のレースを繰り返していても、世界との差はどんどん広がっていくので、記録更新に着眼点を置いてレースをすることも必要です。指導者の覚悟を含めて、選手がチャレンジする意欲を持てるかどうか。前田よりもスピードを持った選手はいるので、可能性はあるはずです」
--前田選手も大阪国際のレース後に、すぐ「また記録を狙いたい」という発言をしていましたね
「五輪出場を目標にしていると国内の代表争いの勝負になってしまうので、記録を狙うことが難しくなります。記録を少しでも縮めていくチャレンジの過程に五輪があれば理想的でしょう。日本の女子選手も1万メートルのタイムを30分30秒ぐらいまで持っていければマラソンで2時間15分ぐらいのタイムを出す力はあると思います。数人が2時間15~16分で競えるようになったら、五輪でもメダル争いの可能性が増していくでしょう。前田もまだ1回成功しただけです。記録を狙うための練習を積み重ねていくことができれば、もっと狙えると思いますし、チャレンジの繰り返しが大事だと思っています」(聞き手 丸山和郎)
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