敵地マツダで7戦7勝 球児監督がシーズン開幕戦を託すのは鯉キラーの左腕、大竹耕太郎か 「鬼筆」越後屋のトラ漫遊記
産経ニュース / 2025年1月7日 11時30分
球児阪神の初陣は「まさかの大竹」の可能性があるのでしょうか。藤川球児新監督(44)の初年度となる2025年シーズン開幕は3月28日の広島戦(マツダ)ですが、栄えある開幕投手は誰? オーソドックスな選択だと、昨季13勝3敗の才木浩人投手(26)ですが、3月16日のドジャースとのエキシビションマッチ(東京ドーム)に登板濃厚の右腕は登板間隔の上で調整に疑問が…。そこで、過去2シーズン、敵地マツダスタジアムで7勝0敗の鯉キラー・大竹耕太郎投手(29)の名前が急浮上してきます。少々気が早いですが、年頭に新生タイガースの船出を占ってみましょう。
新シーズンへ始動
いよいよ25年のシーズンに向けて、球界が動き始めます。今週中には各球団で新人合同自主トレが始まり、2月1日のキャンプインに備える選手たちの姿が報じられることになります。
その昔、虎番記者だった頃は甲子園球場で行われた合同自主トレを取材していました。寒い中、白い息を吐いて体を動かす選手たちを見つめながら、今年もまた新たなシーズンが始まるのか…という思いにふけったことを昨日のことのように思い出しますね。
阪神OBの人たちとも話すのですが、異口同音に言うのは「俺たちの時代よりも、今の選手たちの方が圧倒的に真面目に練習する。練習量は今の方がすごい」という話ですね。野球のレベルが向上し、さまざまな科学的な練習方法も採り入れられています。シーズンオフだからといって、本当に餅を食べてコタツで寝ていては周囲から取り残される厳しい時代なのですね。
新監督の戦略戦術は
少々、前振りが長くなりましたが、藤川球児新監督を迎えた新生タイガースは25年、2年ぶりのV奪回に向けて動き始めます。2年前は85勝53敗5分けで18年ぶりのリーグ優勝。そして日本シリーズではオリックスを4勝3敗で下して38年ぶり2度目の日本一に輝きました。そして、昨季は74勝63敗6分けの2位。クライマックスシリーズ(CS)のファーストステージでDeNAに敗れ、2年連続日本一の夢も消えました。岡田彰布前監督が勇退して、藤川新監督が誕生。さあ、今年は巻き返してV奪回となるのか、それとも…というシーズンですね。
そこで、いきなり今シーズンを占う開幕戦を考察してみたいと思いますね。まだ早い? そんなに焦ってどうする? いやいや、藤川新監督はオフに「阪神は戦略をマスコミに報じられ、敵に知られてしまう」と話して、自身の戦略戦術をベールに隠すようなコメントをしています。なので、開幕投手の人選も直前まで煙幕を張る可能性があるはずです。だから、一足早く、シーズン開幕をどのような戦略戦術で臨むのか予想してみたいのです。人が隠したがっていることをいち早く書くのが、新聞記者の悪癖?なのですかね。
大谷との再戦に意欲
ポイントは新生タイガースの初陣を飾る投手は誰なのか。普通に考えれば昨季13勝3敗、一人で貯金を10もつくった才木でしょう。昨オフ、侍ジャパンの一員として臨んだプレミア12でもエース格で投げました。若きエースとして、藤川阪神の最初の試合のマウンドに立つ-。これがオーソドックスな考えです。
才木はオフの契約更改で7千万円増の年俸1億2千万円(推定)でサイン。この際、球団に将来的なメジャー挑戦の希望を伝えました。「30歳になるまでには…」とポスティングシステムを利用しての移籍を希望したようですね。向上心旺盛な若者の夢。メジャー挑戦への通過点として、自身初のシーズン開幕投手の座が用意されても、何ら不思議ではありません。
しかし、才木の3月28日・広島戦(マツダ)先発登板には調整上の問題が生じる可能性があります。なぜなら、才木は同16日のドジャースとのエキシビションマッチで先発する可能性があるからですね。才木はドジャース・大谷翔平選手とのリベンジマッチに意欲を示しているのです。
23年3月6日、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表との強化試合(東京ドーム)で先発した才木は大谷と2打席対戦して、1打席目は三振を奪うも、2打席目は3ランを被弾。決め球のフォークボールに対し、左ひざを地面に着けながらバックスクリーンに運ばれる豪快な一発を浴びました。もう一度、大谷と対決して今度こそねじ伏せるという意欲。藤川監督も才木のドジャース戦登板を頭の中に入れているといわれていますね。
村上は広島戦2勝5敗
仮に才木が3月16日に登板するならば、開幕戦まで中11日。もう一度、どこかで投げるとしても登板間隔は変則となります。普通に考えれば、もう一度、中6日で投げて、さらに中6日となる3月30日の広島との開幕カード第3戦(マツダ)に投げるというのが調整的には順当ですね。
仮に才木が開幕投手でないのであれば、では誰が? そこで浮上するのは村上頌樹投手(26)か大竹です。ここで比較材料となるのが広島との相性と敵地マツダスタジアムでの成績です。村上は昨季、対広島戦は8試合登板で2勝5敗。マツダでは1勝2敗です。一方の大竹は対広島戦は6試合登板で3勝1敗、マツダでは3勝無敗。なんと阪神移籍後、マツダでは2シーズンで7戦7勝なのです。
ここまで極端なデータはめったに見られないでしょう。広島に強い。敵地マツダスタジアムでは負けなし。広島の打者たちが出てこられて最も嫌な投手の名前は大竹耕太郎となりませんか。
エースか相性重視か
そこで、藤川球児新監督の思考回路がどんな結論を出すのかは非常に興味深いですね。シーズン開幕投手は通常、チームが143試合を戦う上での軸となる投手を指名します。そうでない場合は奇策と呼ばれることもあります。後者の場合に他球団は「このチームの監督は何を仕掛けてくるのか分からない」となるわけです。
投手出身で投手起用に一家言を持つ新監督の方向性を探る上でも、3月28日の先発投手に誰を選択するのかは興味深いですね。絶対的な相性重視なのか、それともオーソドックスな選択なのか-。
もちろん、2月1日からは春季キャンプが始まり、投手の調整具合などによって事情は大きく変わるでしょう。春季キャンプ、オープン戦をウオッチしながら、3月28日のシーズン開幕への期待を膨らませていきたいと思います。
◇
【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや) サンケイスポーツ運動部記者として阪神を中心に取材。運動部長、編集局長、サンスポ代表補佐兼特別記者、産経新聞特別記者を経て特別客員記者。岡田彰布氏の15年ぶり阪神監督復帰をはじめ、阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。
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