パリ五輪女子マラソン6位入賞の鈴木優花が手にした難局での前向きな発想力
産経ニュース / 2024年10月4日 10時0分
陸上女子マラソンの鈴木優花(第一生命グループ)は、自身4度目のマラソン挑戦となった今夏のパリ五輪で6位入賞を果たした。激闘を終えた25歳が大舞台を経験し手にしたのは、苦しい局面での前向きな発想力。新たな〝武器〟を手に、次の目標へと歩みだしている。
五輪史上最も過酷ともいわれたコースで行われたパリ五輪の女子マラソン。鈴木はナイキの「アルファフライ3エレクトリック」を履き、「靴が地面に当たるようにして、反発をもらいながら進むように意識した」。激しい高低差を巧みに攻略しながら30キロ付近では先頭集団で戦い、6位でゴールした。
ゴール後には優勝したシファン・ハッサン(オランダ)と一緒に写真にも納まった。「とても幸せな時間だった」。マラソンの前に5000メートルと1万メートルでともに銅メダルを獲得したハッサンは、鈴木にとって憧れの存在でもある。「持っている土台というか、力が底知れないと感じた。トラックで培ってきたスピードと、タフさは非常に差がある」。世界トップの実力を痛感し、今後の課題とした。
五輪切符をつかんだ昨年10月のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)から、本番まで約10カ月。調整の難しさを感じたという。春先にはトラックで思ったような記録が出ず、故障にも見舞われた。調子が上がらない時期は「こんなのでいいのか」と五輪代表に決まっている自分を責めたこともあった。
そんな経験を乗り越え結果をつかんだ鈴木は、精神面で成長を感じている。周囲の期待は「重荷にせず、シンプルに喜びにすればいい」。故障についても「起こったなら仕方ない、やるしかないと思って、切り替えられるようになった」。苦しい場面も前向きにとらえる発想力を身につけた。
パリの難コースを2時間24分2秒で駆け抜け、自己ベストを更新。日本記録が2時間18分台に突入している中、今後については「(2時間)23分、22分ぐらいは普通にいきたい」と謙虚に話す。自身の現状を冷静に見つめ、「日本記録を出したいけど、一つ一つ目の前のことを追って、大事にして、徐々に積み上げて追いついていきたいというところもある」。
来年は陸上の世界選手権が東京で行われ、本人も意欲を見せる。そして、その先に狙うのは4年後の大一番だ。「一番大きな目標はロサンゼルス五輪。日本新記録ももちろん狙っていきたいし、どんどん自分をアップデートして、いろんな大会やタイムに挑戦していきたい」。まだまだ伸びしろは十分だ。(小川寛太)
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