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主力流出に見舞われながら驚異的な〝J1残留力〟をみせてきた湘南、今季の結末は…

産経ニュース / 2024年10月5日 9時0分

サッカーJ1の湘南が、今季も薄氷を踏むような終盤戦を送っている。現状は6試合を残して勝ち点35の16位。J2自動降格となる18位で、消化試合が1試合少ない磐田との勝ち点差はわずかに3だ。J1に復帰した2018年から昨季までの平均順位は15位で、J2自動降格ラインとの平均勝ち点差は4・2。毎年のように主力の流出に見舞われながらも驚異的な粘りをみせてJ1で戦い続けており、今季もサポーターと安堵(あんど)のため息を分かち合うつもりでいる。

湘南の18年以降の順位は13、16、18、16、12、15(全20クラブだった21年以外は全18クラブ)。19年はJ1参入プレーオフ決定戦でJ2徳島と1-1で引き分けて何とか残留、20年は最下位に沈みながら新型コロナウイルスの感染拡大に伴って導入された降格なしの特例に救われた。20年を除く自動降格圏との勝ち点差は2、5、1、8、5で、綱渡りのようなシーズンが続いている。

クラブ規模を考えれば、踏ん張ってはいる。23年度のトップチーム人件費は12億5500万円で、J1では18クラブ中16番目だった。38億6000万円でトップの浦和や38億円で2位の神戸の3分の1に満たず、J2でも清水、町田、長崎、磐田に及ばなかった。人件費相応の成績といえなくもない。

大黒柱級の戦力を引き留めるのも容易ではない。代表例は23年夏に海を渡った22年ワールドカップ(W杯)カタール大会日本代表の町野修斗(キール)であり、23年にチーム総得点40の約3分の1を占める13ゴールを挙げてシーズン後に広島へ移籍、さらに今夏からプレーするイングランド2部・ブラックバーンでの活躍が認められ、今月のW杯アジア最終予選に臨む日本代表に初招集された大橋祐紀だ。

20年シーズン後には、斉藤未月(神戸)や松田天馬、金子大毅、鈴木冬一(いずれも京都)ら主力の大量流出もあった。遠因には、監督8年目となる19年シーズン中にパワーハラスメント行為の責任を取った曺貴裁監督(現J1京都監督)の退任があったとされる。本人も深く反省する不祥事とはいえ、湘南時代に指導を受けた日本代表主将の遠藤航(リバプール)らが「恩師」と慕うなど、その求心力は一定の評価を得ていただけに、クラブのダメージは大きかった。

そんな窮地にさらされながら、クラブはトップチームを全体で支えてきた。下部組織は遠藤や斉藤、現チームで中盤の核を担う田中聡ら魅力的な選手を輩出、育成してきた。強化部門の眼力も見逃せない。J2北九州所属でJ1出場歴のなかった町野を見いだし、昨季途中にJ3のYS横浜から獲得した福田翔生は今季、チーム2位の8得点を挙げている。

湘南ほど残留争いの修羅場を経験しているクラブはなかなかない。歓迎できない経験も、最終盤まで続きそうなつばぜり合いでは〝武器〟となりうる。9月28日には上位の鹿島に0-2の劣勢から3-2で勝ち切って貴重な勝ち点3を奪い、山口智監督は「2失点してもへこたれなかった。鹿島さんに勝ったのは大きい」とうなずいた。今季もみんなでハッピーエンドを喜び合うため、クラブ、選手、サポーターが一丸となって戦い抜く。(奥山次郎)

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