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大橋悠衣に「ビビッときた」 恩師・平井伯昌氏が語った引退の競泳金メダリストの第一印象

産経ニュース / 2024年10月31日 8時0分

東京五輪の競泳女子400メートル個人メドレー決勝を制し、喜ぶ大橋悠依=2021年7月、東京アクアティクスセンター

競泳女子個人メドレーで2021年東京五輪2冠の大橋悠依が18日に東京都内で開いた引退記者会見には、東洋大の恩師、平井伯昌監督が駆け付けた。平井氏は大橋のレースを初めて見たときの印象や、東京五輪のエピソードなどを語り、大橋の競技生活をねぎらった。

平井氏が初めて大橋のレースを見たのは、12年のジャパン・オープンにさかのぼる。当時、日本代表のヘッドコーチ(HC)をしていた平井氏は、高校生だった大橋の風貌や泳ぎに、「ビビッと来るものがあった」という。

長身で、長い手足、スラっとした体格、大きな泳ぎ-。「個人メドレーで、これほどスケールの大きい選手はいないと感じたのが、彼女の第一印象」と振り返る。

大橋は滋賀県出身で、草津東高から14年に東洋大に入学。貧血やけがなどに悩まされながらも才能が開花し、初めて代表入りしたのは大学4年と、水泳界では珍しく〝遅咲き〟だった。

大学時代の大橋について平井氏が「今でも覚えている」という出来事がある。16年リオデジャネイロ五輪を控え、金メダルを狙う萩野公介らと海外遠征から帰ってきた平井氏は、東洋大で〝留守番〟をし、記録を伸ばした大橋に「どのように頑張っていたのか」と聞いた。大橋の返答は、こうだった。

「平井先生がいるときにアドバイスしていただいたことを、先生がいなくても、いつも思い出して気を付けてやっていました」

それを聞いた平井氏は「自分でやると決めたことを必ず実行できるような、芯の強い選手と感じた」とうなったという。

平井氏は、大橋には「繊細なところもある」とみていた。だから、国際大会デビュー戦には気をつかったと懐かしむ。17年世界選手権200メートル個人メドレー。予選、準決勝を何秒で泳ぐかを入念に打ち合わせた。重圧になってはいけないとの思いから「あまり目立たないように」(平井氏)と準決勝をぎりぎりの8位で通過。決勝は端の8レーンから思い切り行かせ、一気に銀メダルに輝いた。

その後、大橋は19年世界選手権400メートル個人メドレーで3位となるなど順調に実績を積み重ねていった。そして迎えた東京五輪。同種目予選前の大橋は「ひな鳥のように震えていた」というが、決勝でしっかりと実力を発揮し、金メダルを獲得。200メートルとの2冠も達成し、平井氏は「困難なことのあとに必ず結果を出すのが、素晴らしかった」と頬を緩めた。

平井氏は、今月からイトマンスイミングスクールの総監督に就任。特別コーチに就いた大橋とは、「一生の付き合いを」と笑った。(久保まりな)

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