1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. スポーツ
  4. スポーツ総合

サッカー審判の第一線から退く西村雄一さん、思い出はカズが決めた伝説の一戦の「ゴール」

産経ニュース / 2025年1月7日 12時0分

2014年ブラジルW杯で、ネイマールにイエローカードを提示する西村雄一主審=ブラジル・サンパウロ・アリーナ

サッカー・Jリーグの計682試合で審判、ワールドカップ(W杯)2大会で主審も務めた西村雄一さん(52)が、2024年限りで第一線から退いた。数多くの試合を裁いた中で最も印象に残っている試合に挙げたのは、11年に行われた震災復興支援チャリティーマッチ。現在は日本フットボールリーグ(JFL)のアトレチコ鈴鹿所属のカズこと三浦知良がゴールを決めた伝説の一戦で、「ゴールは取った側と取られた側の感情が入り乱れるが、あのゴールは誰もが喜んだ。そんな瞬間はあれだけ。ピッチ上で味わえたのは忘れられない」と振り返った。

豪華メンバーが集結

東日本大震災の発生から18日後の11年3月29日。大阪・長居スタジアムが大歓声に包まれた。

「東北地方太平洋沖地震復興支援チャリティーマッチ がんばろうニッポン!」で、日本代表とJリーグ選抜「Jリーグ TEAM AS ONE」が対戦。ハイライトは日本代表が2-0とリードして迎えた後半37分、DFラインの裏を取ったJリーグ選抜のカズがネットを揺らして渾身のダンスを披露した瞬間だった。

この試合で主審を任されたのが西村さんだった。3月には日本代表のモンテネグロ戦とニュージーランド戦が予定されていた。しかし、震災と東京電力福島第一原発で起きた事故の影響で中止を余儀なくされ、代わって開催されたのが日本代表のチャリティーマッチだった。日本人の西村さんが、通常であれば担当しない日本代表戦の笛を吹くことになった。

「すべてが止まった日本のサッカーが再スタートを切るチャリティーマッチ。レフェリーを担当させてもらって忘れられない試合」という一戦は、「日本人は日本代表の国際試合を担当できないが、チャリティーマッチだったので真剣な日本代表のプレーをピッチ上で体感できた」という極めて異例のゲームとなった。

アルベルト・ザッケローニ監督が率いていた日本代表は長谷部誠や本田圭佑、遠藤保仁、長友佑都らが名を連ね、Jリーグ選抜にもカズのほか大久保嘉人、小野伸二、中村俊輔、中村憲剛ら豪華メンバーが集結。チャリティーマッチとはいえ、日本代表の強化へつなげる真剣勝負で、西村さんにとってかけがえのないゲームになった。

協会の審判マネジャーに

西村さんは10年南アフリカ、14年ブラジル両W杯、12年ロンドン五輪などに参加し、南アフリカW杯決勝のオランダ対スペイン戦で第4審判、ブラジルW杯開幕戦のブラジル対クロアチア戦で主審を務めている。1999年からはJリーグで紡がれてきた数々のドラマをピッチ上で見守ってきた。

日本人審判の第一人者として新たな歴史を切り開いてきた西村さんが、日本サッカー史に残るチャリティーマッチの主審を務めたのは必然だったのかもしれない。昨年12月19日に取材に応じた際は選手や審判仲間、家族らへ丁寧に感謝の言葉を重ね、「審判活動は私の人生を本当に豊かにしてくれた」と締めくくった。

チャリティーマッチを担当して得た稀有な経験を胸に刻み、日本サッカー協会の審判マネジャーとして新たな一歩を踏み出す。(奥山次郎)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください