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甲子園超えのふかふか芝や豪華練習場 来春開業の阪神2軍施設「居心地良すぎ」に危機感も

産経ニュース / 2024年11月23日 7時0分

建設中の室内練習場を視察する阪神の平田2軍監督=尼崎市(斉藤友也撮影)

全貌がいよいよ見えてきた。来年3月1日、兵庫県尼崎市に開業するプロ野球阪神の新ファーム施設「ゼロカーボンベースボールパーク」。甲子園球場へ送り出す選手育成が大きな役目となるが、施設のすばらしさは、阪神の平田勝男2軍監督が「居心地が良くなっちゃあいかん」と危機感を抱くほど。都市再生と合わせた脱炭素の取り組みとしても注目を集め、球団90周年にも彩りを添える。

商店街でカウントダウン

阪神の「日本一早い優勝マジック」の表示で知られる尼崎中央三丁目商店街で21日、開業100日前のカウントダウンボード設置の記念セレモニーが開催された。尼崎中央三丁目商店街振興組合の寺井利一理事長によると「優勝マジック以外を掲げるのは初めて」。

観光の目玉としての期待も大きい。西宮市鳴尾浜に移設される前の2軍本拠地は、尼崎市にあった浜田球場。寺井理事長は「30年を経て帰ってきてくれた。これで尼崎もタイガースの地元だと胸を張って言える」と感無量の様子だった。

市によると、昨年11月末から募っている周辺地域の活性化取り組みのための寄付金は、11月20日時点で約1500万円。全国から寄せられ、注目度の高さがうかがえるという。

室内練習場「ゲームできる」

ベースボールパークは、メイン球場「日鉄鋼板SGLスタジアム尼崎」、サブグラウンドとなるタイガース練習場、室内練習場、選手寮のほか、一般利用される野球場や広場に、メイン球場の外周には散歩やランニングのための周遊コースも整備される。

広さも太陽の向きもグラウンドの形状も甲子園球場と同一に造られたメイン球場は、11月中旬で進捗(しんちょく)状況が約8割。グラウンドは天然芝と黒土のにおいが広がり、高揚感も高まる。芝も深くて、ふかふか。阪神園芸によると「甲子園球場より今は水はけがいい」そうで、上出来のようだ。

球場から高架下をくぐり抜けると、室内練習場と選手寮。11月中旬に初めて視察した平田2軍監督は室内練習場を見渡すや「ゲームできるやん」。甲子園の室内練習場の約1・5倍の広さで、天井も甲子園室内より3メートルも高い16メートルと、実に壮観だ。いずれも内装作業はこれからだが、選手寮の食堂は1面ガラス張りで解放感抜群。平田監督は「1部屋を1億円でも買いたいよ。老後はここで選手たちを見て過ごしたいね」というほれ込みぶりだった。

街のイメージ「ガラッと変わる」

「阪神に入りたくてしようがないという選手が増えるのでは」という平田監督が「環境が良すぎて居心地がよくなっちゃあいかん」と危機感も募らせるほどの施設だが、大プロジェクトも待ち受ける。

施設名が表す通り、太陽光発電や蓄電池設備の設置などで再生可能エネルギーを導入し、官民連携で完全ゼロカーボンを目指す。災害時の地域の防災拠点としても活用。都市再生と合わせた地元活性も担う施設としての重責もある。

「公害のまち」として知られた街も、松本真尼崎市長はそのイメージが「ガラッと変わる」。「選手との交流やお土産の開発などいろんな機運醸成をしていきたい」と夢を描く。尼崎で生活することになる若虎たちは、あらゆる面で注目されることになる。(嶋田知加子)

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