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快進撃の新井カープで存在感放つノムさん門下生 強力投手陣を支える藤井ヘッドの野球頭脳 鬼筆のスポ魂

産経ニュース / 2024年8月9日 11時30分

ベンチで戦況を見守る広島の新井貴浩監督(左)と藤井彰人ヘッドコーチ=6月28日、東京D(佐藤徳昭撮影)

カープ快進撃の裏に「ノムラの考え」あり-。シーズン開幕前の下馬評を覆し、セ・リーグ首位を走る広島の原動力は、リーグトップのチーム防御率2・16(7日現在)を誇る投手陣だ。大瀬良、森下、床田、九里らの先発陣は強固で、セットアッパーの島内、ハーンから守護神・栗林へつなぐリリーフ陣も整っている。投手を含むバッテリーを裏側で支えているのが、新井貴浩監督(47)の知恵袋でもある藤井彰人ヘッドコーチ(48)だ。

愛称は「男前」

指導者の経験がなく、いきなり2022年オフに指揮官に就任した新井監督がまず招聘(しょうへい)したのが、阪神を4季率いた矢野燿大(あきひろ)前監督とともに1軍バッテリーコーチを退任したばかりの藤井ヘッドだった。

2人は同学年で、阪神での現役時代から仲が良かった。藤井ヘッドの現役時代の愛称「男前」は、11年7月に試合後のお立ち台で新井監督がいじったのが始まり。ただ、広島に縁もゆかりもなかった藤井ヘッドを招聘したのは、指導者としての豊富な経験と野球頭脳を高く評価したからだろう。

岩隈とコンビ

藤井ヘッドは05年、近鉄の球団解散による分配ドラフトで楽天に移籍した。翌06年に楽天の監督に就任したのは、南海(現ソフトバンク)、ヤクルト、阪神で監督を歴任した名将・野村克也氏。そこから4シーズン、きめ細かなノムラの考えを吸収した。投手をリードする配球には常に裏付けが求められ、過去の配球チャートを何度も読み直す日々…。成果は制球力抜群の岩隈久志投手(近鉄-楽天-マリナーズ-巨人で日米通算170勝)とのコンビで生きた。

10年オフ、フリーエージェント(FA)で阪神に移籍。当時の阪神球団が藤井を高く評価したのは、岩隈を好リードする配球と低めのワンバウンドを後ろにそらさない巧みな捕球技術だった。今は阪神・梅野のキャッチングが高く評価されているが、薫陶を受けたのが藤井ヘッドだ。

「楽天では嶋(現ヤクルトヘッド兼バッテリーコーチ)、阪神では梅野を育てた。ベテラン捕手として若手の捕手をうまく導いたように、選手の頃から指導力があった。コーチとしての手腕も評価できる。矢野前監督が4シーズン、一度もBクラスに転落しなかった理由の一つに藤井コーチの存在がある。一言で言うなら頭がいい」とは阪神OBの言葉。矢野前監督の退任とともに野に放たれた「男前」を見逃さなかったのが新井監督だった。

昨季も指導者としては経験不足の新井監督を陰で支えて、74勝65敗4分けの2位。阪神との対戦成績は9勝15敗1分けと大きく負け越し、ゲーム差は11・5だった。しかし、今季は95試合消化時点で51勝39敗5分けの貯金12で、3位の阪神には3ゲーム差をつけている。対戦成績も8勝7敗1分けだ。新井監督や藤井ヘッドが昨季のデータを洗い直して臨んだ成果が出ているのだろう。

「弱者の兵法」

通算24年の監督生活でリーグ優勝5回、日本一3回を誇る野村克也氏の数ある名言の中に「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」という言葉がある。負けるべくして負けた試合をどれだけ減らせるかが、長いペナントレースの上では大事になってくるわけだ。

野村監督の代名詞は「弱者の兵法」。前評判の低いチームをいかに勝たせるのか-。藤井ヘッドは今、新井カープの縁の下で師匠の野球学を実践しているのかもしれない。

【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや) サンケイスポーツ運動部記者として阪神を中心に取材。運動部長、編集局長、サンスポ代表補佐兼特別記者、産経新聞特別記者を経て特別客員記者。岡田彰布氏の15年ぶり阪神監督復帰をはじめ、阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。

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