1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. スポーツ
  4. スポーツ総合

「全員ファンにしろ」…柔道大国フランスに挑む日本、レジェンド野村忠宏さんが五輪へ金言

産経ニュース / 2024年7月12日 10時0分

柔道イベント「野村道場」を開催した野村忠宏さん(左から2番目)。左は男子日本代表の鈴木桂治監督、右から2番目は松本薫さん=6月30日、奈良市内 (大石豊佳撮影)

五輪の柔道史上唯一の3連覇を誇る野村忠宏さん(49)が、パリ五輪に挑む代表選手たちへ金言を送った。前回の東京五輪で日本史上最多の金メダル9個を獲得したお家芸だが、今回は最大のライバルで柔道大国であるフランスでの開催となり、厳しい戦いが予想される。その完全アウェーの雰囲気も熟知するレジェンドは「日本らしい素晴らしい勝ち方をすれば、逆にファンになって応援してくれる」と説いた。

柔道ファンで埋まる会場

五輪で負け知らずの野村さんにとっても、フランスでの戦いは忘れられないものだった。意外にも世界選手権の優勝は1度だけで、その舞台が1997年のパリ。「ファンの熱狂具合が全然違う。1万人以上入る体育館がいつも満員。日本と違うのは、柔道の関係者じゃなくて柔道ファンで埋まるということ」。2度優勝したフランス国際柔道大会(現グランドスラム・パリ)とともに、独特の雰囲気は鮮明に記憶に刻まれている。

その異様なムードは、柔道大国ならではのものがある。ただ地元選手に熱い声援が送られるだけではなく、好プレーには分け隔てなく拍手が起こり、消極的な選手にはどの国であっても〝抗議〟の意を込めた重低音の足踏みが起こっていたという。この目の肥えたファンを味方につけることが、パリ五輪での勝利への鍵となる。

野村さんは「日本にとってはものすごく厳しい戦いになると思う」と想像しながらも「フランス国民は柔道をよく理解している。いかにパリの柔道ファンを自分の味方につけるか。これが大事」と力を込めた。

野村さん自身は「全員、俺のファンにしてやる」という気概で意気揚々と試合に臨み、世界選手権決勝はジョージア選手を豪快な背負い投げで下すなど、見事に味方につけて力に変えていた。

カフェで「ピクチャー、プリーズ」

6月30日に奈良市内で行った柔道イベント「野村道場」に招いた、ロンドン五輪女子57キロ級金メダリストの松本薫さんも「(フランスの会場の雰囲気は)全然違うよね」と声をそろえた。2011年にパリで行われた世界選手権に出場して銅メダルを獲得した際に、忘れられない思い出がある。パリのカフェでコーヒーを飲んでいたら警備員が突如近づいてきた。不思議に思っていたら、「ピクチャー、プリーズ」と記念撮影を求められたという。畳の強者はフランス国民の憧れの的。「それぐらい柔道が人気」と実感した。

フランスでは幼少期に教育の一環として柔道着に袖を通す人が多く、柔道人口は日本の4倍超の50万人以上といわれる。野村さんは「多くの人が子供のころに柔道を経験し、好きなまま大人になって柔道ファンでいる。われわれ日本も目指すべき姿がフランスにあるように思う」と話した。

この日の「野村道場」は初心者向けの内容を盛り込み、初体験の成人女性の参加者もいた。「野村と柔道をしたとか、そういう思いもあってパリ五輪の柔道を見てもらえたら、より熱も入ってくると思う。柔道ファンが一人でも増えたら大満足です」。野村さんが行う活動にも打倒フランスの思いは込められている。

同じく「野村道場」に参加した男子日本代表の鈴木桂治監督は「選手全員、目標を聞かれれば『金メダル』と答える。一人一人の目標をかなえさせる監督でありたいと思っています」と力を込めた。野村さんに憧れて強くなってきた男子66キロ級代表の阿部一二三(パーク24)をはじめ、全員がメダル候補。大国を圧倒し、母国のプライドを見せつけることができるか。(大石豊佳)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください