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日本代表「超速ラグビー」で育成急務 ジョーンズHC、人材難のSO、FBにどう対応

産経ニュース / 2024年12月11日 11時0分

欧州遠征から帰国し取材に応じるジョーンズ・ヘッドコーチ=11月26日、羽田空港(石原颯撮影)

今年1月から再び指揮を執るエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC)の下、6月から国内外で強化試合に臨んできたラグビー日本代表。経験豊富なジョーンズHCとはいえ、再登板1年目となった今シーズンは、けがで離脱した選手の代役に苦心した側面があった。特に司令塔であるSOの人材不足は顕著で、秋の欧州遠征では本職ではない選手を起用。指揮官が理想のスタイルとして掲げる「超速ラグビー」が鳴りを潜めた試合もあった。ワールドカップ(W杯)でベスト4以上を目指す日本代表にとっては、ラグビー界を挙げて「2番手」の育成が急務だ。

体力面の要求が高い戦術

「ファストスタート、ストロングフィニッシュ」

1年目のシーズンを4勝7敗で終えたジョーンズHCは、「超速ラグビー」の目指す姿をこう示した。

今年6月に始まったテストマッチでは前半20分まではスピード感のある攻撃で相手を翻弄したが、後半は失速。格下相手にも足が止まり、追い上げを許す試合も。「超速」は体力面での要求が高いことが明るみになった。

選手に体力の改善を求めるといっても、限界値を超えているようにも見えた。その点についてはジョーンズHCも認め、「アタックでキックを使う」(ジョーンズHC)と超速の将来像を示したのが冒頭の言葉だ。試合中盤はキックでボールを相手に渡して敵陣でプレーし、体力を温存しながら時間をしのぐ。そして、試合序盤と終盤で「超速」を出すという。

一連のテストマッチで、その中盤で想定されるスタイルの一端を見せたといえるのが、今季最終戦の11月24日、敵地で行われたイングランド戦。キックで裏のスペースを狙う戦術を取った。

しかし、うまくいかなかった。

守備の裏のスペースを狙うはずのキックがショート。避けたかった競り合いになり、ボールを奪われ、反対に大きく蹴り返されて後退してしまう苦しい展開が続いた。試合の主導権をイングランドに終始奪われたチームは、14-59で敗れた。

キッキングゲームの中心を担うのがSOとFB。いずれのポジションもジョーンズHCの「ファーストチョイス」ではない代役が務めた。SO李承信(神戸)がけが、早大2年のFB矢崎由高は大学のシーズンのため欧州遠征に帯同していなかった。

この試合でFBを務めたのは松永拓朗(BL東京)、SOはニコラス・マクカラン(トヨタ)。マクカランに至っては主戦場はCTBの門外漢だった。

求められる国内リーグの役割

SO、FBはシーズンを通して人材難が浮き彫りになり、本職ではない選手の起用が相次いだ。

李の離脱後、SOの代役を担ったのはCTBがメインの35歳のベテラン立川理道(東京ベイ)。フランス戦で負傷離脱後も引き続き専門外の選手が代役を務めた。ジョーンズHCは「李が一番手。その下の選手がいない状態」と危機感をあらわにする。FBに関しても専門ではない選手がカバーする試合が少なくなかった。

ベテラン選手を使わず世代交代を急いだジョーンズHCへの賛否はあろうが、セレクションの対象になり得る若手はどれほどいたのだろうか。特にSOは昨季、リーグワンで主力を張ったといえるのは高本幹也(東京SG)ら数は少ない。SO1番手の李も南半球最高峰のスーパーラグビーの強豪から来日したSOがいたため、CTBでの出場が多かった。「人材不足」というジョーンズHCの指摘は的外れとは言えない。

選手層を厚くするのはリーグワンに求められている役割だ。一方で海外の大物選手の加入はリーグを国際レベルに引き上げるためには不可欠。その両立は頭を悩ます問題だ。若手選手がリーグワンで台頭し、桜のジャージーを着るという好循環を生み出すためにラグビー界全体で知恵を絞りたい。(石原颯)

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