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57歳「キング・カズ」の情熱は衰え知らず 2季ぶり復帰の日本で追う終わりなき夢 鬼筆のスポ魂

産経ニュース / 2024年6月28日 11時30分

サッカーW杯フランス大会の日本代表メンバーから外れ、帰国後に記者会見に臨む三浦知良=1998年6月、成田空港

始まりがあれば必ず終わりがある。人は生まれれば必ず死ぬ。そして、どんな人間でも年を取れば必ず老いていく。誰もが受けいれざるを得ない宿命にここまであらがえるのか…と驚くしかない。

サッカー元日本代表FW三浦知良(57)が、7月1日から日本フットボールリーグ(JFL)のアトレチコ鈴鹿でプレーする。保有権を持つJ2横浜FCからの期限付き移籍。今年5月までの2季はポルトガル2部のオリベイレンセに在籍していた。鈴鹿には、旧体制のポイントゲッターズでプレーした2022年以来の復帰。日本への復帰もそれ以来となる。

現役へのこだわり

国立競技場で25日に行われた移籍会見。真新しいユニホームに袖を通したカズは「自分の情熱が衰えることはない。まだまだグラウンドで戦えるというモチベーションは常にあるので、やめるという選択肢はなかった」と話した。

移籍期間は来年1月末までだが、若い頃とほとんど変わらない体のフォルム、輝くような笑顔を見ると、3年後の27年2月26日に迎える還暦(60歳)の時もピッチに立っているのでは…とすら想像してしまう。

1993年のJリーグ発足時にヴェルディ川崎のFWとしてプレー。36試合に出場して20得点をマークした。それから31年。J1通算326試合に出場し、139得点、J2通算249試合出場で24得点、日本代表では89試合で55得点。数々の名シーンを演出した希代のストライカーは、これからも現役にこだわる。

「(JFLは最短で出場できる7月14日以降に)15試合あるので、1試合でも多く、1分でも多く出たい。ゴールを挙げることを目標にやっていきたい。ベテランらしくないプレーを見せたい」と意気込んだ。

日々の積み重ね

おなか周りがせせり出て太ももは痩せてしまい、健康診断では生活習慣病に該当する数々の疾患を指摘される。立ち上がるときは必ず「どっこいしょ」と声が出てしまい、体が硬くて足の爪を切るのにもひと苦労…。これが普通の60歳手前のオッサンだ。ところが、カズはまるで違う。どうしてこんな姿を保つことができるのか。

そこには当然ながら日々の努力の積み重ねがある。若い頃から練習には誰よりも早く出てきて、最後の最後までグラウンドに残っている。練習はウソをつかない、というが、カズの濃密な練習メニューは在籍したどこのクラブでも有名。体のケアもきめ細かい。入念な手入れを欠かさず、温冷浴も取り入れている。真剣にサッカーと向き合った一日一日の積み重ねが、今のカズを作り出したのだ。

「いつかはW杯に…」

「心の中にいまだ消えない夢があるから、頑張れるのだと思う」というサッカー関係者の言葉もある。カズは日本がワールドカップ(W杯)に初出場した98年フランス大会の代表候補25人に選ばれ、スイス合宿に参加したが、最終的に本大会の出場メンバーから外された。夢舞台への出場がかなわなかったカズは、髪を金髪に染めあげて帰国するや「日本代表としての誇り、魂みたいなものは向こうに置いてきた」と激白した。長いサッカー人生でW杯には一度も出場していない。「いつかは日本代表としてW杯に出たい」と口癖のように話していたことは周囲の人間なら誰もが知っている。きっと今でも同じ志なのだろう。

いくら年齢を重ねていても心の中に夢がある、揺るぎない目標のある人は青春なのだ…と聞いたことがある。三浦知良を見て、同世代の人間は自らを省みる。自分の目標は、自分の夢は…と。

カズのサッカー人生のゴールは、まだまだ遠い先だと思う。そう思いたいのはなぜだろうか。

【プロフィル】植村徹也(うえむら・てつや) サンケイスポーツ運動部記者として阪神を中心に取材。運動部長、編集局長、サンスポ代表補佐兼特別記者、産経新聞特別記者を経て特別客員記者。岡田彰布氏の15年ぶり阪神監督復帰をはじめ、阪神・野村克也監督招聘(しょうへい)、星野仙一監督招聘を連続スクープ。

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