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滋賀県庁本館改築85年、信楽焼の置物など当時の記念品発見 大津の男性所有

産経ニュース / 2024年6月24日 17時0分

今年5月に改築から85年を迎えた滋賀県庁本館で、改築当時に配られた記念品の一部が見つかった。大津市在住の男性が所有していたもので、専門家は「当時の盛り上がりに触れることができる貴重な品々だ」と評価している。

3つの記念品を発見

現在の県庁本館は昭和14年5月16日に完成。地上4階、地下1階からなる鉄筋コンクリート造で、デザイン性に優れていることなどから、平成26年に国の登録有形文化財となった。

今回見つかった記念品は、銀製シガレットケース▽信楽焼の獅子置物▽清水焼の大型盃(さかずき)―の3点。いずれも大津市の喫茶店店主、高谷尊士さん(76)が自宅で保管していた。

3点は「昭和十四年五月 滋賀県庁舎改築記念」と印字されていたり、県庁の外観がデザインされていたりすることから、いずれも改築時に記念品として配布されたとみられるが、入手方法など詳細は不明だという。

来賓に信楽焼の置物

県庁本館の建設時の経緯をまとめた『滋賀県庁舎本館』(サンライズ出版刊)には竣工(しゅんこう)日の様子が記されている。

「式典には来賓七百名のほか、多くの県民、学生が参列しています。<中略>当日は、来賓には信楽焼の獅子の置物や風呂敷などが贈呈され、職員には記念の杯、絵葉書(えはがき)、折詰弁当が配られたといわれています。<中略>市中は沸き返る賑(にぎ)わいを呈したといわれています」

「獅子の置物」は県立公文書館所蔵の県庁舎改築書類につづられており、庁内作成の文書や見積書を確認すると、発注数が700個と記されている。『滋賀県庁舎本館』の記述からみても、改築時に記念品として来賓に配られたとみてほぼ間違いない。

価格は1個3円。原型は旧県窯業試験場(現県工業技術総合センター)の嘱託職員、川島雄三さんが担当し、試験場で製作されたとみられる。

また「記念の杯」は大型盃のことで、900個製作された。当時の職員数は864人で、こちらもおおよその数が合う。価格は1個50銭。京都市の業者に依頼したようだ。

高価な銀製品は誰に

発見された3つの記念品のうち、残る銀製シガレットケースについても関連する文書と見積書が見つかった。

表に県庁本館、裏に定礎銘がデザインされたシガレットケースの数は、ぐっと減って120個。「特別の技術が必要」として、大阪市内で記念品などを取り扱う「尚美堂(しょうびどう)」と随意契約を結ぼうとしていたことがわかる。

見積書によると、単価は13円80銭。ちなみに当時の一般職員の平均月給は約68円70銭だった。

尚美堂は明治33年の老舗で、現在も大阪市中央区平野町に店を構える。当時から法人や団体向けに記念品の作成を請け負っていたといい、社長の江藤克二さん(70)は「記念品として、当時は灰皿やたばこケースがよく売れていたようです」と教えてくれた。

ほかにも県から同社に純銀製の花瓶を依頼した書類もあった。数量は74個で、単価も54円と値が張る。

『滋賀県庁舎本館』の著者の一人で元県職員の池野保さん(68)は「高額寄付者や政財界のお偉いさんなど限られた人に配られたのでは」と話す。ただ、この純銀製の花瓶については、実物の発見に至らなかった。

記念品を所持している高谷さんは「どんな物なのかずっと気になっていた。価値がある物であれば、いずれは寄付したい」と話している。

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