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「まさかここまで火が…」住宅密集地に潜む「飛び火」リスク 100m先でも火災の危険

産経ニュース / 2025年1月23日 20時5分

大阪市生野区で昨年12月、立て続けに2件の火災が発生した。両現場の間は約100メートル。警察や消防が調べたが放火の形跡はなく、1件目の現場の炎が飛散した「飛び火」が原因との見方が強まっている。乾燥した日が続き各地で火災が相次ぐが、風の強い日は飛び火による延焼の危険がある。過去には、100棟以上の住宅が焼ける大規模火災に発展したケースもあり、専門家は「特に古い住宅密集地ではリスクが高まる」と警戒を呼びかけている。

1件目の火災が起きたのは12月17日午後3時過ぎ。同区生野西の木造2階建て店舗兼住宅など4棟が焼け、女性(81)が死亡、男性(87)が軽傷を負った。約40分後には、北東に約100メートル離れた同区生野東の木造2階建て空き家の屋根からも火の手が上がり、大部分が焼損した。

大阪府警などが空き家の出火原因を調べたところ、屋根付近に出火原因となるような電気系統はなく、失火や放火の形跡はみられなかった。大阪管区気象台によると、この時間帯、大阪市では乾燥注意報が発令。最大瞬間風速9・7メートルを観測しており、1件目の火災の炎が風で飛ばされて燃え移った可能性がある。

「『ビュンビュン』と音が聞こえるくらいの風が吹いていた」。空き家近くの男性(82)はこう振り返り、「まさか、ここまで火の粉が飛んでくるのか」と驚く。

飛び火による延焼は強風が吹き、空気が乾燥している状況下で起きやすい。日本防火技術者協会の関沢愛(あい)理事長(76)は、「特に古い家屋では飛び火の影響を受けやすい」と指摘する。

実際、今回飛び火で延焼したとみられる空き家は4軒が連なる長屋の一部で、築50年以上とされる。関沢氏は「古い家屋は屋根瓦の間に隙間が多く、そこに火の粉が集積しやすくなる。それらが一定の量に蓄積することで着火し、延焼が始まる」と説明する。

総務省消防庁は飛び火への警戒を強め、各地の消防に対策を取るよう通知している。今回の火災時には、大阪市消防局がヘリコプターで現場周辺の状況を監視。日中は目視で火の粉を確認しにくいため、赤外線カメラを使って火の粉が舞っているのを確認し、延焼を発見したという。

同局の担当者は「春一番などこれから強い風が吹く季節になる。引き続き飛び火への警戒をしていく」としている。(木下倫太朗)

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