震える手に「還付金」のメモ、ATMで声かけて詐欺被害防いだデザイナーの女性に感謝状

特殊詐欺を未然に防止したとして、京都府警右京署は7日、京都市右京区のグラフィックデザイナー、寺岡佳名子さん（45）に感謝状を贈った。

寺岡さんは8月16日、京都市右京区の商業施設に設置されたATMに並んでいた際、女性（63）が携帯電話で通話しながら別のATMで操作しているのを見かけた。「還付金」などと記されたメモを持つ手が震える様子などから違和感を覚えたという寺岡さん。「大丈夫ですか」と女性に声をかけて電話を切るように促し、約80万円の詐欺被害を防いだ。

感謝状を受け取った寺岡さんは「グラフィックデザイナーという職業柄、警察が掲示する詐欺防止ポスターを気にかけていた。おせっかいな性分がいい方向に働いた」と話した。

右京署によると、女性は京都市職員を名乗る男から「令和元年から4年までの還付金があります」などと連絡を受け、電話で誘導されながらATMの操作を試みていたという。

コンビニ店員や金融機関の関係者が同様の詐欺被害を防ぐパターンは少なくないが、一般人が貢献するケースは「珍しい」と同署。西谷真嗣署長は「簡単にできることではないが、未然防止の力は非常に大きい」とたたえた。（森天音）