阪神大震災モニュメントの銘板、新たに2人の名前追加 遺族「生きた証を」
産経ニュース / 2025年1月16日 19時36分
阪神大震災の犠牲者らの名前を刻んだ銘板を掲げる「慰霊と復興のモニュメント」(神戸市中央区)に16日、新たに2人の名が加えられ、計5070人となった。例年12月に追加式を行ってきたが、震災から30年がたち、遺族の高齢化などを踏まえて今後は希望者が現れたタイミングで追加する方針に切り替える。
この日は、兵庫県尼崎市内の自宅が倒壊し亡くなった松久保愛香さん=当時(20)=と、震災翌月の平成7年2月に心臓発作で亡くなった同県芦屋市の清水豊子さん=同(45)=の名前が新たに地下の「瞑想(めいそう)空間」の壁に取り付けられた。
松久保さんの写真を手に持ちながら銘板を取り付けたのは、母の喜代子さん(82)。高齢になり、毎年追悼を行っていた京都の寺院を訪れることが体力的に難しくなったこともあって今回の追加を希望した。
鹿児島県出身で3人きょうだいの長女だった愛香さん。放射線技師を目指し、父の勝司さん(77)と尼崎市内で2人暮らしをしながら通学していたが、震災で崩れた自宅のはりに挟まれ、亡くなった。「頭が真っ白になって、『なんで』というほかなかった」と喜代子さんは当時を振り返った。
しっかり者で友人にも恵まれていたといい、喜代子さんは、「娘の生きた証を残してあげたかった。『入れてもらってよかったね』と語りかけました」と話し、ほほ笑んだ。
震災後に自宅の片付けなどをしている中で心臓発作を起こし、亡くなった清水さんについては、弟の芳春さん(68)が追加を希望。「足の悪い母の面倒を見てくれて、優しい姉だった。生きていたら良いおばあちゃんになっていただろうという残念さと、(今回の追加が)姉のためになったかなという晴れやかな気持ちがあります」と打ち明けた。
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