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小学校侵入犯と対峙、警官到着までの緊迫の10分間 警備員歴40年のプロのふるまい

産経ニュース / 2025年1月29日 10時0分

早朝の小学校に侵入した男を発見し、警察官に引き渡したとして大阪府警羽曳野署は22日、東洋テック株式会社(大阪市浪速区)の警備員、笠原広一さん(56)に感謝状を贈呈した。男を発見し警察官が駆け付けるまで2人きりの10分間。警備員歴約40年のベテランは、男を刺激しないよう冷静な対応で事件解決に貢献した。

12月23日午前4時35分ごろ、藤井寺市内の小学校で校長室の防犯センサーが作動した。この一報を受け、市内にある東洋テックの待機施設にいた笠原さんは現場に急行。到着すると、現場確認のため学校の外側を一周回った。「ガシャン」。そのとき、校舎から響いたガラスが割れるような音。「これは何かあるな」。そう思い、敷地内に入ると再び校舎から同じような音が聞こえてきた。

「絶対誰かが中にいる」。そう確信して外から校長室に近づくと、隣接する職員室のガラス窓が割れ、近くにガスバーナーが落ちていた。そしてその直後、校長室のドアを開け、帽子をかぶったマスク姿の男が中庭に出てきた。

「どちらさまですか」。警棒を手に、男に声をかける。男は学校関係者だと答えたが、入校証も持たない男にさらに深まる疑い。即座に会社の緊急センターに電話し、110番を依頼した。

それから警察が駆け付けるまで約10分、男と2人きりだったが「慌てることはなかった」と笠原さん。実は10年以上前にも窃盗犯と現場で遭遇し、取り押さえた経験がある。約40年、警備員として積み重ねてきたキャリアを武器に、男を「殺気立てず、興奮させないように」と丁寧に声をかけ続けた。

男は「ガラスが割れていると聞いて修理のために確認しに来た」と校舎内にいる理由を説明。噓だと思いながらも時間を引き延ばすため丁寧に話を聞いた。男に暴れたり、逃げたりする様子はなく、その後、警察官に男の身柄を引き渡し職務を全うした。

羽曳野署によると、小学校に侵入したのは羽曳野市に住む30代の男。男はガスバーナーでガラスに熱を加えて割る「焼き破り」といわれる手口で校長室の窓から侵入し、職員室の机の中から約4千円が入ったコインケースを盗んだとして、窃盗罪で起訴された。

警備員としての長年の経験を生かし、窃盗事件の解決に大きく貢献した笠原さん。犯人が捕まらなければ、職員だけでなく、学校に通う子供や保護者も不安な日々を過ごさなければならなかっただろう。功績をたたえ、羽曳野署の西祐司署長から感謝状を手渡されると、「地元・藤井寺の治安維持に貢献できてうれしい」と笑顔を見せた。(木下倫太朗)

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