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「良い返事頂くまで何度でも参ります」PTA役員勧誘に極秘マニュアル、情報漏洩と告発も

産経ニュース / 2024年9月13日 20時9分

共働きの増加によって役員のなり手不足が深刻化しているPTAで、問題のある役員勧誘や個人情報の取り扱いへの批判が相次いでいる。大阪府内の学校では、次年度の役員候補の自宅に押し掛け「何度でも参ります」などと勧誘する手法がマニュアル化されていたことが明らかになり、「強引だ」との声が上がった。学校側が子供や保護者の個人情報をPTAに提供した対応に違法性があるとして、保護者が校長を刑事告発する事態も起きている。

担当者だけの極秘資料

《こんなん宗教勧誘やん》。昨年10月、大阪府高槻市内の小学校の保護者のものとみられるX(旧ツイッター)のアカウントに、PTAの次年度役員を選ぶ「指名委員」が保護者の自宅を訪問する際のマニュアルが画像で投稿された。

産経新聞が入手した過去のマニュアルによると、1回目の訪問では《直ぐに返事を頂くのは無理なのは分かっております》と引き下がるが、2回目は《良いお返事を頂くまで何度でも参ります》と迫る。3回目以降では訪問する指名委員へのアドバイスとして《絶対にこの方にお願いするんだという自信と誠意を持って何度でもお願いに行く》と強調。断られた場合は他の保護者も勧誘するため、いずれの訪問でも《指名委員が来た事はご内密に》と釘を刺すよう求める-といった内容だ。

高槻市内の公立学校園のPTAが加盟する市PTA協議会が、A4用紙1枚にまとめたもの。指名委員の間だけで共有する〝極秘資料〟として扱われてきたという。

戸別訪問「押し売りのよう」

昨年12月の高槻市議会定例会では、市議がこのマニュアルを取り上げ、「使用の実態や経緯を調査して公表すべきだ」と市教育委員会に求めた。市教委によると作成時期は不明だが、昨年8月に開かれた指名委員の学習会での配布が確認されたという。

数年前に指名委員を務めた50代女性は産経新聞の取材に応じ、実際にマニュアルに従って勧誘を行ったことを明かした。

女性は協議会などが主催した指名委員向けの学習会に参加。マニュアルが配布され、勧誘する指名委員役と訪問を受ける保護者役の想定問答も披露された。協議会関係者からは「指名委員の活動には守秘義務があるので、口外しないように」と念押しされたという。

負担の大きい役員に手を挙げる保護者は少ない。女性は、マニュアルに従った勧誘方法について「押し売りのようでおかしいという認識はあった」としたが、「指名委員の活動を早く終わらせたいという一心で勧誘した」と振り返った。

「PTAに情報漏洩」校長を刑事告発

PTAによる保護者や児童生徒の個人情報の収集に関するトラブルも各地で起きている。

個人情報保護法は平成29年5月に改正され、PTA会員名簿の作成や運用にも本人の同意が必要になった。だが、こうした運用が徹底されていないケースもあるとみられ、大分市では令和3年1月、保護者の女性が、自身や長女の個人情報を学校側が無断でPTAや地域団体へ漏らしたとして、地方公務員法(守秘義務)違反の罪で市立小の校長を大分県警に刑事告発。高松市や岡山市などでも同様のケースがあった。

高槻市でも今年1月、40代女性が同法違反の罪で市立小の校長を大阪府警に告発。女性は産経新聞の取材に、子供2人の氏名や学年などが無断でPTAに提供されたと主張し、「個人情報に関する知識が乏しく、気づかないうちに学校に情報を漏らされた」と訴えた。告発された校長は取材に応じていない。(宇山友明)

■PTA 子供たちの学校生活を保護者と教職員で支えるボランティア団体で、「ペアレント・ティーチャー・アソシエーション(父母と教職員の会)」の略。学校行事の手伝いやベルマークなどでの物品購入の援助、勉強会の主催、広報誌作成などを行う。共働きの増加によって、主に平日日中に行われる活動への参加を強制されるといったマイナスイメージが広がり、近年では任意加入の徹底や業務の効率化、負担軽減といった改革が広がっている。

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