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本部長「隠蔽」否定も、起訴の前部長と主張対立 信頼回復へ道険し 鹿児島県警の情報漏洩

産経ニュース / 2024年6月24日 18時38分

鹿児島県警の前生活安全部長、本田尚志(たかし)被告(60)が国家公務員法(守秘義務)違反の疑いで逮捕、起訴された情報漏洩(ろうえい)事件は、被告側と、野川明輝(あきてる)本部長をトップとする県警側の主張が真っ向から対立している。本部長による不祥事の隠蔽(いんぺい)を主張する被告側に対し、野川本部長は完全否定しつつ捜査指揮に不備があったことは認めた。警察庁は24日、県警に対する特別監察を開始。県警は組織風土の抜本的対策に取り組むとするが、信頼回復の道は険しい。

事件指揮を「放置」

「私が隠蔽を指示した事実はございません」

野川本部長は21日、本田被告の起訴後に開いた記者会見でこう繰り返し、改めて自身にかかる疑惑を否定した。

発端は、5日に鹿児島簡裁で開かれた本田被告の勾留理由開示手続き。枕崎署員の盗撮事件などを巡り野川本部長が「泳がせよう」などと言って隠蔽を指示したと主張した。

県警によると、事件の発生は昨年12月15日。現場近くの防犯カメラに署の捜査車両が写っていたことから署員の関与が浮上した。

警察官が容疑者の事件は本部長指揮となる。ただ野川本部長は、県警首席監察官から同22日に報告を受けた時点で「証拠に乏しかった」と主張。署長指揮での捜査継続を指示したが、本田被告が「私のところに報告や指揮をうかがいにきた事実は一切ない」とした。

一方で野川本部長は、署員による犯行の可能性を指摘されながら、今年5月の署員逮捕まで捜査の進捗(しんちょく)などを署に確認したり、状況に応じた指示をしたりせず、「迅速的確に行う捜査の基本に欠ける」として警察庁長官訓戒を受けた。

一方、本田被告が同様に隠蔽を指摘した霧島署員によるストーカー事案について、被害者の希望で立件は見送り、署員の処分は警察庁の発表指針に照らし、公表しなかったとした。

本田被告の「告発」を完全否定した野川本部長だが、ある県警関係者は「県民を不安にさせたことは事実で、納得していない人もいるだろう。今後説明を尽くし、信頼回復を図らなければならない」と強調する。

「公益通報あたらず」

「隠蔽」疑惑に加え、焦点となるのが、本田被告の行為の適否だ。

起訴状などによると、本田被告は3月28日ごろ、県警の不祥事をまとめた文書などを札幌市のライターに郵送したとされる。文書には、枕崎署員の盗撮事件について、当時の刑事部長が静観を指示したとする記載があり、問い合わせ先として同部長の住所が記されていた。

本田被告の弁護人は「内部通報のようなもの」と違法性を否定するが、盗撮事件の捜査は生活安全部が担当し、刑事部長は関与していなかった。文書には野川本部長による隠蔽の記載がない上、公表を望まないストーカー被害者の個人情報が含まれ、県警は「公益通報にはあたらない」との見解を示した。

本田被告側は自身の関与の発覚を恐れて刑事部長の名前を使ったと説明しており、公判での論点の一つになりそうだ。

家宅捜索の是非は…

本田被告の逮捕に至る端緒となった県警の捜査手法に対しても批判が集まっている。

県警は曽於(そお)署巡査長=地方公務員法違反罪で起訴、懲戒免職=による別の漏洩事件で、ニュースサイトを運営する福岡市の男性宅に家宅捜索に入り、本田被告がライターに送った文書のデータを見つけたとみられる。男性側は「報道弾圧」と批判。取材源の秘匿を鉄則とする「報道の自由」を脅かす懸念が指摘されている。

県警は「メディアかどうかというより捜索先と捉えている。報道や取材の自由は理解している。(家宅捜索は)客観的証拠などを踏まえ、適切に行っており、(報道の自由への)影響はない」としている。(有川真理、藤木祥平)

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