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したくなる、結婚式 「ナシ婚」の時代に推しと祝う自分流の記念日、後から注文のビデオも 月刊Biz

産経ニュース / 2024年11月16日 12時0分

結婚式の課題解決サービスを提供する「We‘ve(ウィーブ、大阪市北区)」がブライダル業界を活気づけようと、ユニークな事業を展開している。デジタル技術を活用した引き出物専門サイトの運営や結婚式の記録ビデオサービスなどで結婚式を後方支援し、これまでのサービス提供数は累計17万組以上に上る。今月は好きなアイドルやキャラクターなどを応援する「推し活」に着想を得た新サービスも開始。「毎日、記念日をつくろう」をコンセプトに、結婚式をはじめとする記念日の新しい祝い方を提案している。

始まったばかりの新サービス「oshi-dori(おしどり)」では、結婚式などの記念日に「推し」と過ごす感動の瞬間を提供する。サービスの第1弾は、引退した競走馬が暮らす北海道の牧場での体験をプロデュース。名馬の世話や記念植樹ができるほか、乗馬体験を用意する。ウエディングドレス姿の新婦が名馬にまたがり、新郎は手綱を引く-。こういった競馬ファンのカップルにとって憧れのシーンを、プロのカメラマンが美しい映像におさめていくという。

自分らしさや、独創性が大きな価値を持つ現代。結婚式を挙げる人たちの間でも「自分だけのストーリーを紡ぎたいという思いが強くなっている」といい、その思いに応えるために生まれたサービスだ。結婚式だけでなく、あらゆる記念日での利用を想定し、今後は多様な推し活に対応しようと、撮影場所もテーマパークや美術館、博物館などに広げていきたい考えだ。

ウィーブは2003年にブライダルギフト事業に参入したのをきっかけに、09年からは結婚式に欠かせない引き出物選びの煩雑さを軽減させるオンラインサービスを開始した。以来、全国の結婚式場へ、あらゆる課題解決サービスを提供している。

結婚式場ではウエディングプランナーや料理人、ヘアメークなどさまざまなプロが活躍する。ただ、扱う商品は数万点以上、取引先となるギフトメーカーも膨大な数という引き出物を扱うプロは存在しない。引き出物にまつわる業務はスタッフの負担につながっていた。そこでウィーブは、カップルがギフトを選びやすいようにしたサイトを開設。さらには商品管理も行うなどして結婚式場が引き出物にまつわる業務を外部に委託できる仕組みを構築した。

「こういった後方支援によって、スタッフには結婚式の準備に専念してもらえる。結婚式がより充実し、カップルだけではなく、列席した方々の特別な思い出になると信じています」。事業運営本部の太田大資本部長はこう話す。

さらに同社が力を入れてきたのは、結婚式の記録ビデオのサービスだ。結婚式全体の費用を抑えるために、注文を控えるケースも多い記録ビデオだが、「撮っておけばよかった」と後悔するカップルも多いという事情を知り、まずは無料で撮影して、サンプルを見てから購入を決めることができるサービス「想い出プラスMovie」の提供を15年に始めた。プロのカメラマンによる撮影を確約するため、普及するまでしばらくは赤字が続いたが、式後にサンプル動画を見たカップルやその両親からの反応は大きく、今では全国各地の結婚式場と契約を結ぶなど、人気のサービスに成長した。

ブライダル業界は新型コロナウイルス禍からの回復が遅れている。ウィーブが今年2月から3月にかけて業界従事者を対象に行った調査では57・1%が「コロナ禍前の活気には及ばない」と回答した。そこで結婚しても式は挙げない「ナシ婚層」に式の良さを知ってもらおうと、交流サイト(SNS)を活用したPRにも力を入れる。「記念日を大切にすることが、人々の生活を豊かにすることにつながるはず」と太田本部長。記念日の価値を最大化するための模索が続く。

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