アマゾンが子供向けイベント 物流拠点が地域共生を模索、住民が利用できるカフェや避難場所も
産経ニュース / 2024年6月22日 18時33分
大規模な物流施設が、周辺整備や災害発生時の避難場所提供などを通じた地域貢献に力を入れている。近年、Eコマース(EC、電子商取引)市場の拡大などで急増した物流施設。大型車両の往来や、交通渋滞を危惧する声も地元からあがる中、誰でも利用できるレストランや公園を設置して親しみやすさをアピールするなどして、地域共生を試みる。
インターネット通販大手のアマゾンジャパン(東京)は22日、兵庫県尼崎市内にある物流施設で、地元の子供向けにイベントを開いた。商品のサイズに合わせて自動的に最適な形に紙袋を切り出して梱包(こんぽう)する装置などを紹介。見学した中学生は「将来働いてみるのも楽しそう」と話した。
物流施設には長年、「きつい」「汚い」などのネガティブなイメージがつきまとってきた。関係者によると「労働力の確保が大きな課題となっている」といい、地域に開かれた働きやすい施設を整備することで、イメージの刷新や労働力確保につなげる狙いがある。
大阪府茨木市内に物流施設を建設中の日本GLP(東京)は7月末、延べ床面積16万5千平方メートルの1棟目が竣工する。地域住民が利用できるカフェや公園が併設されるほか、フィットネスジムや託児所などの従業員の働きやすさにも配慮した施設を備える。担当者は「地元から歓迎してもらっている。就業希望者増にもつなげていきたい」と話す。
さらに、地元自治体から、災害時の防災拠点として期待される事例もある。物流不動産大手ESR(東京)は大阪府藤井寺市や松原市、神奈川県など全国の自治体と災害協定を結ぶ。今年2月には、三重県木曽岬町と、災害時に物流施設の敷地を住民の避難所として開放する協定を締結。12月には100人規模の防災訓練も計画している。
アマゾンジャパンも尼崎市と相模原市の物流施設を災害支援物資の保管拠点として活用。1月の能登半島地震では、両拠点から10万点の支援物資を被災地に送った。同社サステナビリティチームの井田恭子氏は「地域貢献を通じて、周辺住民との関係を強化したり、働きたいと思う人を増やしたりできれば」としている。(桑島浩任)
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