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小林製薬、どうなる創業家の影響 ブランド再建へ経営刷新急務 通期の純利益は半減へ

産経ニュース / 2024年11月8日 20時5分

「紅麹(べにこうじ)」成分のサプリメントを巡る健康被害問題で、関連損失が累計で101億円に膨らんだ小林製薬。これまでに小林一雅前会長、章浩前社長のトップの辞任や社外取締役の監督機能の強化を示した再発防止策の策定など「脱創業家」を打ち出したが、専門家は章浩氏が社長に返り咲く可能性を指摘する。小林家の影響が残るとみられる中、イメージ刷新による経営再建に注目が集まっている。

同社は8日、2024年12月期の連結業績予想の下方修正を発表。純利益は従来予想から14億円減の107億円とし、前期の約半分に落ち込む。健康被害は広がりを見せており、10月には被害救済弁護団が結成されたほか、台湾でも集団訴訟を起こされており、事態収束の道は遠い。

また、コマーシャル(広告)で多くの人が知るヒット商品を次々と生み出してきた同社だが、問題発覚以降は自粛。さらに一部商品のパッケージで日本歯科医師会からの推薦表記が取り消されるなどイメージ回復にも時間を要しそうだ。

24年1~9月期連結決算では、紅麹問題や広告中止の影響で既存製品で前年同期比97億円の減収が生じた。中国でも、7月までの広告中止の影響をカバーし切れず15億円の減収となった。サプリを含む食品が苦戦し、ヘルスケア部門が9・2%の減収となった。

記者会見した中川由美執行役員は「まずしないといけないのは補償と再発防止策の実施。広告再開は少なくとも年内はなく、来年のどこかの時期」と述べた。「止めるのは会社にとっても貴重な期間。広告の在り方を検討している期間」とも語った。

再発防止策としては、経営に影響する最終意思決定機関として、社長と少数の執行役員で構成される「経営執行会議」を新設。社外取締役も参加できるようになり、報告遅れなどを招いた企業統治を根本的に立て直す狙いがある。

関西大の亀井克之教授(リスクマネジメント論)は「真摯(しんし)に取り組んでいることは理解できる。大きな変革となっていることは間違いない」と評価する。一方で章浩氏が取締役として補償を担当する状況については「危機管理において創業家の力が必要なのだという(同社の)意思表示。いずれは社長に戻るのではないか」とみる。

章浩氏の後任として就任した山根聡社長は「創業家に忖度(そんたく)しない」と明言する。一方で創業家依存経営からの脱却が永続的か否かについては「企業価値を高めるために必要なスキルとマインドを持った者がリーダーになることは正しい」と含みをもたせた言い方をしている。

亀井氏は「代々続いた創業家だからこそ、簡単に責任を放棄できないという点もあり、一概に同族経営が悪いとはいえない」と指摘。そのうえで「創業家の影響が残るのであれば、企業としてどのように改善されたのか体制や製造現場の状況を含めて明確に情報を開示していく必要がある」と述べた。(清水更沙)

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