オーバーツーリズム解消目指す観光展望施設オープン 大阪・堂島浜 広域の情報を提供

JTB子会社でイベント事業などを手がけるJTBコミュニケーションデザイン（JTBCD、東京）は19日、大阪・堂島浜に観光展望施設「WowUs（ワオアス）」を開業した。来年4月開幕の2025年大阪・関西万博でさらなるインバウンド（訪日客）の増加が見込まれる中、広域の観光情報に触れる場として運営し、大阪市内に集中するオーバーツーリズム（観光公害）の解消につなげる。

ホテルやオフィスなどからなる地上32階建て複合高層ビルとして今年4月に開業した「大阪堂島浜タワー」の16階に入居し、施設面積は約803平方メートル。日本語版と英語版の約65種類の観光冊子、府内各地の映像を流すモニターを設け、関西や全国自治体のPRイベントにも今後注力する。令和7年度に10万人の来場を目指す。

JTBCDの藤原卓行社長は「大阪を訪れる観光客の大半は道頓堀や市内だけを訪れ、（それより）南部や北摂などを知らない」と指摘。まずは今月27～29日の3日間限定で伝統産業展示施設「堺伝匠館」（堺市）のPRを目的に和包丁などを展示販売するポップアップストアを出店する。大阪市外の観光情報を発信することで「オーバーツーリズムの課題解決に取り組みたい」と話す。

施設にはカフェや貸し会議室、アートを鑑賞できるサイネージなど、来場者の交流を促す機能も充実。7月に開業した「カンデオホテルズ大阪ザ・タワー」と建物内の階段で直結しており、チラシやSNS（交流サイト）を通じて宿泊客に告知するほか、今後は共同イベントなどで連携する。（田村慶子）