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大阪で初の自主公演「研の會」 古典に挑む尾上右近「刺激的な存在でありたい」

産経ニュース / 2024年8月22日 18時0分

歌舞伎俳優、尾上右近(32)の自主公演「研の會」が31日と9月1日、大阪市中央区の国立文楽劇場で開かれる。23歳で始めた自主公演も8回目だが、大阪では初。家族や親子の「愛」をテーマに、大阪が舞台の義太夫狂言の名作「摂州合邦辻(せっしゅうがっぽうがつじ)」と舞踊「連獅子」に挑む。「古典は『良かったか、悪かったか』で見られがちですが、やっぱり『面白い』と思ってもらいたい。今までで一番気合が入っています」と熱い。

「摂州合邦辻・合邦庵室の場」で挑む玉手御前は女形の大役。義理の息子、俊徳丸(中村橋之助)に邪恋を仕掛け、見かねた父、合邦(市川猿弥)の手で死ぬ間際、思わぬ真実を語り出す激しい女性だ。

「玉手は俊徳丸に本当に恋していたのか」は議論が繰り返されてきた。右近は「受け止め方はお客さまに委ねたい」とした上で、「『恋』かどうかは解釈が分かれる。でも『愛』はある」とヒントを添えた。

「連獅子」は同じ音羽屋の尾上眞秀(11)との共演が話題だ。右近の曽祖父は六代目尾上菊五郎、眞秀の祖父は七代目菊五郎とともに血筋ではあるが、父親が歌舞伎俳優ではないという点で共通している。

獅子の親子を描く「連獅子」は実の親子で演じることも多く、「見ると寂しくなる」と避けてきた眞秀に右近は深い共感を寄せる。ただ、自身は父の代わりに、市川團十郎白猿(当時海老蔵)ら4人の先輩俳優の親獅子で学ぶ機会に恵まれた。「置かれた環境を自分ならではの環境にしていくことが大事」と、温かな目で眞秀を見守る。

研の會を始めたきっかけは「焦り」だった。20代は思ったような役が付かず、「若気の至りというか、『できるのにやらせてもらえない』という承認欲求がすごく強かった」という。

研の會で背伸びした大役に挑むことで、普段の舞台では若い時期に学ぶ芝居や心得があると気付いた。人気と実力を備えた今、研の會は「自ら行動してできることを探る『初心』を思い出す時間」になっている。

大阪公演を義太夫狂言の元である人形浄瑠璃の本拠・国立文楽劇場で行うのは、「そう簡単に『良かった』と言ってくれない人にも『良かった』と言わせたい」との思いから。「もっとウエートが軽いやり方もあるのかもしれないけれど…こじらせているんでしょうね」と無邪気に笑う。

あふれる情熱を隠さず、貪欲に芸の高みに挑む姿がまぶしい。「僕ができていないことを同世代の仲間がやったら悔しいし、逆に『あいつはやっている』と思わせたい」と右近。「刺激と励みは一緒にもらうもの。だから刺激的な存在でありたい」と力を込めた。尾上右近事務所(080-4862-5858)。(田中佐和)

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