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所得制限撤廃の大阪市「塾代」助成、「住む場所で差」懸念も 

産経ニュース / 2024年7月11日 19時39分

10月から所得制限を撤廃する大阪市の習い事・塾代助成事業の申請受付が18日から始まる。市内の小学5年~中学3年の児童・生徒約10万人が対象。同様の助成を行う自治体はほかにもあるが、子供数が多い都市部での所得制限撤廃は珍しいという。該当する子育て世帯が歓迎する一方で、大阪市外の家庭からは「住む場所によって教育格差が広がる」といった声も上がっている。

どの家庭も分け隔てなく

大阪市では、対象学年の児童・生徒の習い事にかかる費用について月1万円を上限に助成。事業に参画する学習塾、スポーツや芸術系教室など約4200事業者で利用できる。

今月中旬に対象の子供がいる全家庭に申請書類を郵送。郵送での手続きは8月15日、オンラインは8月21日までに申し込めば10月分から適用される。申請はその後も随時受け付ける。

市では平成25年度から中学生を対象に実施し、昨年度から小学校高学年を含む計約5万人に拡大。今回の所得制限撤廃で、対象者は約10万人にまで増える。

市の調査では、令和4年度に1カ月以上助成を受けた家庭は対象世帯のうち約6割。これまで申請方法が郵送に限られていたことや、「周囲に対象世帯だと知られたくない」と申請を控えた家庭もあるようだ。

市外からは不満の声も

今春から大阪市の私立中に子供を通わせる女性会社員(39)は、校内で受けられる学習支援のオプションサービスに助成が利用できると入学時に学校側から説明された。「教育費がかさむのでありがたい」とする一方で、市外に住む生徒も多く「同じ教室にいる生徒間で、費用に差が出るのはどうなのか」と違和感もある。

金銭的理由から子供の教育をあきらめざるを得ない実態もある。小中学生3人を育てる府東部のシングルマザー(39)は中学2年の長男(13)に「良い高校に入るため勉強を頑張りたい。塾に通わせてほしい」と言われ、返答に窮した。

府内の最難関校が視野に入る成績上位の長男の挑戦を後押ししたい気持ちはあったが、パートで得られる収入は月20万円に届かない。他の子供たちにかかる費用も踏まえ、長男は通塾をあきらめるしかなかった。母親は「塾代への助成があれば通わせてやれたかも。住む場所でこうも違うなんて」とうなだれた。

他市は対象を限定

府内では大阪市のほかに、泉佐野市や吹田市などが小学校高学年と中学生を対象に同様の助成を行うが、両市とも所得制限を設けている。昨年度に事業を始めた泉佐野市は、月5千円を上限に学習塾やダンス教室などのほか、フリースクールの費用にも充てられる。

今年度から始めた吹田市は、月1万円が上限で利用者は1千人程度。所得制限を設けた理由について、市の調査で所得状況によって習い事をあきらめている実態が明らかになったためだという。担当者は「所得状況で学ぶ機会が失われないようにしたい」としている。(木ノ下めぐみ)

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