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笑顔広がる子供の居場所「しゅくだいカフェ」 地域住民、ボランティア運営

産経ニュース / 2024年6月24日 16時1分

共働き家庭が増え、放課後の子供の居場所作りが課題となる中、大阪府柏原市の一部地域で小中学生を対象にした「しゅくだいカフェ」が注目を集める。地域住民がボランティアで運営し、月2回開催。大学生や高齢者ら幅広い年齢層に見守られながら、児童生徒60~80人が集まる空間は、子供だけでなく大人の居場所作りにも一役買っている。

「いらっしゃい。どのお菓子にする? 五つまでな」「五つって?」「5個のことやんか。五つがわからんなんて悲しいなあ」

和菓子や駄菓子が並ぶテーブルの前で、お年寄りと子供らの陽気な会話が飛び交う。お菓子を選ぶ子供らの目は宿題以上に真剣。太平寺地区周辺の保護者らでつくる任意団体「cocoNi+(ここにおいでよ)」のしゅくだいカフェでは恒例のやり取りだ。

「こうした会話はさりげなく行儀やしつけが身に付くので大事なんです」。柏原市立堅下(かたしも)南小中学校の元PTA仲間らカフェを運営するメンバーの代表で、同地区にある圓(えん)林寺の前田慈之(よしゆき)住職(53)が説明する。

予想以上の反響

3年前、子供の孤食や貧困問題を受けて子ども食堂の開始を決意したものの、新型コロナウイルス禍の影響で食事の提供は難しかったことで断念。一方で、共働きの増加で子供の見守りが手薄になり、地域のつながりも希薄になっていたことから、令和3年10月にカフェを始めた。学校の掲示板などで告知をすると、予想以上の反響で子供が続々と集まってきたという。

開催日は毎月第2土曜と第4水曜。地域の集会場・太平寺会館の1階を学習の場、2階をカフェとして活用する。小学5年の女子児童は「ここに来れば勉強も教えてもらえる。友達にも会えるし、お菓子ももらえる」。中学1年の女子生徒は「居心地がいい」と笑顔を見せた。

運営には趣旨に賛同して協力するボランティアの存在も欠かせない。カフェには近隣の寺などから分けてもらったお供えの茶菓子やジュースが並ぶ。おやつのやりとりは高齢者が、学習支援は地元の大学生らがそれぞれ担っており、前田さんは「幅広い世代に関わってもらうのも目的の一つ」と説明。中には独り暮らしの高齢者もいるが、「以前よりよく話し、笑顔も増えた。私たちも仕事の合間を縫って集まるのは大変だが、子供の笑顔で元気になります」と実感を込める。

寄付金で食堂も

揚げパンを配るなど、子ども食堂の活動も少しずつ始めている。大阪いずみ市民生活協同組合(堺市)や地域住民からの寄付を基に、今年の夏休み期間は計3回、手作りのカレーやパスタを用意する計画。賛同者から畑の提供を受けて野菜作りにも挑戦している。

メンバーの一人、札辻(ふだつじ)学さん(48)は「来たくても家から遠くて来られないとの声も聞く。会場や費用の確保などの課題もあるが、この活動が柏原全体に広まってほしい」と話している。

支援続々 全国に

勉強に取り組み、おやつももらえる。こうした宿題カフェ(しゅくだいカフェ)は家庭、学校に続く子供の第三の居場所として全国に広がりつつある。

大阪府内では、NPO法人トイボックス(大阪市浪速区)加盟のカフェが、門真市を中心に約20カ所ある。市民センターなどで平均週1回、午後3~5時に活動。直営のカフェは賞味期限間近の食品を寄付する地元企業の支援もあり、平成28年の開始から計3600回以上開催し、参加者はのべ5万3千人以上にのぼるという。

同時期に活動を始めた「宿題カフェ運営サポート協会」(大阪市東淀川区)に加盟するカフェは大阪、兵庫、静岡、福島の4府県に計7カ所。地域の有志らが運営し、平日の放課後に毎日開放している。協会には運営を希望する人などから月数件の問い合わせがあり、立ち上げや運営のノウハウを伝えている。

事業は、多くの団体が子供の利用は無料にしており、保護者の経済的負担がなく、「(子供の宿題が終わっており)家族との時間が持てる」「学習習慣が身に付く」などと好評だ。ただ、協会の担当者は「賃貸物件の場合は固定費がネックとなり閉鎖したケースもあり、ボランティアの確保も課題」と説明。活動団体は、条件次第では自治体の助成金なども活用できるという。(北村博子、写真も)

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