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混雑と無縁、京都「西山エリア」に分散観光を 歴史と自然調和、寺社ライトアップ開催

産経ニュース / 2024年10月11日 11時30分

京都で訪日客によるオーバーツーリズム(観光公害)が課題となる中、京都盆地の西南部に位置する「西山エリア」の寺社が、地域の竹を使ったライトアップイベントに力を入れている。世界遺産・清水寺などがある「東山」と比べ知名度は劣るものの、奥深い歴史と自然の調和や、混雑とは無縁の世界が魅力的だ。古都が抱える課題解決の鍵を握る分散観光の実現に向け、新たな名所になれるか注目される。

今月4日、京都市西京区の善峯(よしみね)寺であった内覧会。山門から本堂に続く参道をはじめ、重文の多宝塔や開山堂の周辺に竹あかり(竹灯籠)がともされた。竹にはさまざまな形状の穴が開いており、中にLED(発光ダイオード)ライトを設置。穴からこぼれる優しい光が波打つ幻想的な世界が広がった。

業者任せの同種イベントが多い中、善峯寺のライトアップの中心となったのは、地域住民やボランティア約150人の存在だ。9月下旬、竹あかりをプロデュースする熊本県の演出集団「CHIKAKEN(ちかけん)」の指導で、伸び放題で荒れていた竹林から切り出された150本の竹に、住民らがドリルを使って穴を開けて竹あかりを製作した。

善峯寺の掃部(かもん)光淳副住職は「地域のみなさんの思いが詰まっているので大事にしたい。手作りの温かさを感じてほしい」と話す。

イベントの発端は西京区役所洛西支所の池島博幸企画係長が、西山エリアに広く点在する竹林に着目したことだ。住人の高齢化で管理できず放置された竹林の利活用が課題となる中、池島さんがCHIKAKENの存在を知り、協力を要請。放置竹林の整備や有効活用に取り組む地元のNPO法人「京都発・竹・流域環境ネット」も参加し、住民参加型のユニークなライトアップが実現した。

池島さんは「竹がすてきに生まれ変わったことで、放置竹林に注目してもらえれば」と期待を込める。

こうしたイベントの背景には、観光公害の発生という京都ならではの課題がある。清水寺や八坂神社など京都を代表する名所が集まり、常に国内外の観光客でにぎわう東山と比べ、西山エリアの知名度はいま一つ。観光客の分散に向け、京都府・市は西山エリアの竹をテーマに周遊型観光を模索しており、魅力の発信に努めている。

地域資源の竹を使って寺社をライトアップする今回の取り組みには、大歳(おおとし)神社(西京区)と柳谷観音楊谷(ようこく)寺(京都府長岡京市)、光明寺(同市)も参加。文化財に付加価値を付けて観光に活用し、収益を寺社の修理に充てる文化庁の補助事業の一環で、文化庁も京都での取り組みをモデルに全国へ広げたい考えだ。

善峯寺のライトアップは12~14日の午後6時~8時半、大歳神社は19~20日の午後6時~8時半に実施。柳谷観音楊谷寺と光明寺は11月16日から始まる予定。大歳神社を除く3カ寺は拝観料が必要。(田中幸美)

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