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「虎に翼」が世に投げかける「はて?」 イマドキTV+

産経ニュース / 2024年6月22日 8時30分

「じぇじぇじぇ」「同情するなら金をくれ」「じつに面白い」…忘れがたい名ゼリフは多いけど、実際に使ってしまいそうなものは珍しい。NHK連続テレビ小説「虎に翼」の主人公、佐田寅子(伊藤沙莉さん)が繰り出す「はて?」のことだ。

それ自体は特別なフレーズじゃない。日常生活で疑問を感じたときに、ぽろっと口にしてもおかしくないようなカジュアルさ。それが気の利いた言葉に聞こえるのは脚本と演技の妙である。

「虎に翼」は、日本で初めて法曹界に飛び込んだ女性を描く物語だ。テーマの一つが、平等な社会の実現。家父長制だった明治の民法下では、妻は「無能力者」とされていた(!)ぐらいなので、主人公たちはさまざまな壁にぶち当たる。

「良妻賢母」とか「男を立てる」とか(悪気があってもなくても)、女性の行動を抑えつけようとする人々に対して、寅子が眉をひそめて口にするのが「はて?」。

疑問形ではあるものの、「聞き捨てなりません」「それはおかしいですよね」といったニュアンスが込められている。ただし直接的な反論や抗議じゃなく、ワンクッションあるのがいい。あれ、ちょっと一緒に考えてみませんか、みたいな感じ。伊藤さんの所作も絶妙で、真面目な場面なのにニヤッとできる。

そんな「はて?」を世の中にビシバシぶつけるのが今期の朝ドラ。時代劇だけど、射程は現代まで届いている。男装の同級生、よね(土居志央梨さん)の言動など、多様性・公平性・包括性に関わるメッセージもたっぷり盛り込まれ、かなり本気の社会派ドラマになっている。

何度も登場するのが、日本国憲法第14条だ。<すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない>

ドラマを見ていると。この条文が逆風に苦しむ者へのエールに聞こえてくる。まさか憲法を読んで泣きそうになるとは。でも沁みるのよ。(ライター 篠原知存)

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