<モーロクらんらん>(72)老楽の日々
産経ニュース / 2024年9月6日 7時0分
「老いらく」を『日本国語大辞典』で引くと以下のようだった。
(1)年をとり、老いてゆくこと。老い。老年。
(2)年をとってから、安楽な生活に入ること。老後の安楽。
(2)は(1)から転じた用法で「老楽」の字をあてる、と解説している。ボクが今回の話題にしたいのは「老楽(おいらく)」、すなわち老後の安楽である。
老後の安楽とは老いの楽しみだが、その意味の「老楽」という語は江戸時代や明治の初め頃まで使われており、その用例が先の国語辞典に挙がっている。
ところがこの「老楽」、今はほとんど使われない。現代の語を扱った『新明解国語辞典』などには、年をとるという意味の老いらくが出ているだけ。つまり、一般的にはなじみのない語である。
老楽という語が使われなくなった背景には、老後は余生、ひっそりとつつましく消え去るべき、という考えがありそう。老人は余計者、楽しんではいけない、という考えがボクらの社会ではまだ根強い。
右の考え、分からないわけではない。だが、人は誰でも老人になる。その老人が老楽の日々にいるというのは、若い人から見ても快い風景ではないか。
老人が我田引水の意見を述べている感じだが、老楽を許容すると、若い人の未来が明るくなるだろう。だから、「老楽」という語を復活させ、広く流通させたい。老楽は老人の最大の特権というか、老人の好ましい境地。そしてそれは、若い人の未来とつながっているかもしれないから。
「今日ボクは無花果(いちじく)だった無花果を三個も食べて無花果だった」。最近に詠んだボクの短歌だが、これはボクの老楽の日々の一面。(俳人、市立伊丹ミュージアム名誉館長)
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