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「サウナの魅力広めたい」 熱意と熱気で熱風届ける熱波師 成清修一さん まちかど人間録

産経ニュース / 2024年9月1日 11時0分

「あ~気持ちいい…」「最高や」

熱気立ちのぼる室内に集(つど)ったサウナ好き(サウナー)が、緩んだ表情を浮かべてこうつぶやいた。

その源はサウナ室で熱気を操る熱波師、成清(なりきよ)修一さん(40)の〝技〟だ。

手に握ったバスタオル(縦70センチ、横100センチ)を華麗に振り、サウナ室内の熱気を攪拌(かくはん)。「あおいでください」とサウナーから注文が入ると、タオルを降りおろして蒸気を送る。すると、みるみる表情が緩む。サラリーマンのオアシスの出来上がりだ。

成清さんは、宿泊兼温浴施設「サウナ&カプセル アムザ(大阪市中央区)」で働く社員で施設に約10人いる熱波師の1人だ。

施設には最大約30人入る大型サウナを設置。90度前後の室内に置かれたサウナストーンにアロマ水をかけ、蒸気を発生させる「ロウリュ」に加え、熱波師がタオルを使って熱気を行き渡らせる「アウフグース」サービスを提供する。「サウナ利用者全員を笑顔に」がモットーだ。

4年前に熱波師としてデビューした。当時は別の温浴施設で熱波師を務めており、当初は「緊張でガチガチだった」。批判覚悟でサウナ室に踏み込むと、思いがけずサウナーたちから拍手で迎えられた。うまくタオルが振れず、熱気を逃す上、タオルを落としてしまう失敗もあったが、サービスが終わると「いい熱気だった」と労らわれた。顔を上げると、汗と笑顔を浮かべる人の姿が目に入った。

熱波師の魅力にとりつかれた瞬間だった。直接、表情と言葉で感謝を伝えてもらえる。「なんてぜいたくな仕事」。そう思ったという。

気付けば、業務中の休み時間も練習に費やし、休日には著名な熱波師のイベントに足を運ぶほど夢中になった。

その努力が実を結び、昨年5月、「熱波甲子園」(日本サウナ熱波アウフグース協会主催)に施設の熱波師3人と出場。チームリーダーを務め、準優勝した。今年1月、熱波甲子園に出場した成績優秀チームで日本一を決める「熱波甲子園チャンピオンカーニバル」(同)に出場し、見事優勝。キャリア5年目で日本一の栄冠を手にした。

ファンを名乗る人も増え、サウナも日々にぎわう。それでも、「技術より快適さが大事」。派手なパフォーマンスは控え、脱水症状の兆候が出ている人がいないか常に気を配る。

近年のサウナブームで熱波師の知名度は向上したが、「ブームはいずれ去る」と冷静だ。だが、「サウナの良さを一度知ってもらえれば通い続けてもらえる。魅力は〝冷めません〟」。日々、心を込めて熱意と熱気を送り続けている。(土屋宏剛)

なりきよ しゅういち 昭和59年6月生まれ、大阪市内で温浴施設を運営する大東洋グループに平成27年12月に入社し、令和2年1月に熱波師デビュー。同4年6月にアムザに配属された。施設での熱波師ネームは「なりきよ」。

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