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風光明媚な「日本のエーゲ海」 アウトドアブームで来園者続々 和歌山・白崎海洋公園 西日本の水

産経ニュース / 2024年8月13日 10時0分

紺碧(こんぺき)の海と、連なる白い石灰岩-。和歌山県由良町の白崎海岸は「日本のエーゲ海」とも呼ばれる美しい光景が広がる。万葉集に歌われたこの海岸に設置された「白崎海洋公園」は新型コロナウイルス禍の中、アウトドアブームを受けて来園者が増加。オートキャンプ場やログハウス、四国まで見渡せる展望台などがあり、人気を集めている。

来園者が増加

同公園は町が約19億円をかけて建設し一部が平成8年7月、全体が9年4月にオープン。約9ヘクタールの敷地のうち約4・7ヘクタールを白い石灰岩が占め、独特な雰囲気を味わえる。公園を含む白崎海岸は「日本の渚・百選」に選ばれている。

公園内には9区画のオートキャンプ場や4棟のログハウス、晴れた日には四国や淡路島を見渡せる展望台がある。パークセンターには観光案内所や特産品の販売所、飲食店が設けられ、地元でとれる海藻を使った「アカモク丼」や「しらす丼」を食べられる。

過去にはスキューバダイビングの訓練ができるダイビングプールやレストランなどを備えたクラブハウスもあり、人気を集めた。だが、近畿各地に大きな爪痕を残した平成30年の台風21号で損壊し、修復されないまま現在に至っている。

それでもコロナ禍の中、キャンプなどのアウトドアブームが起きて人気が高まり、来園者が増加。町によると、来園者数は、30年の台風21号の影響で4月途中まで閉鎖されていた令和元(平成31)年の約5万9千人から新型コロナの流行が始まった令和2年に約11万8千人、3年に約16万6千人、4年に過去最高となる約21万8千人と増加。5年に約14万4千人に減少したものの、依然として人気を保っている。

町観光推進室の寺井一馬室長は「公園は何といっても海の青と、石灰岩の白のコントラストが素晴らしい。アウトドアブームで注目されたのはうれしい。今後も公園のよさをアピールしていきたい」と力を込める。

軍事施設

同公園は現在、町を代表する観光地になっているが、公園となる前には全く異なる状況にあった。

町によると、白崎海岸の石灰岩は2億5千万年以上前にできたとされる。安土桃山時代ごろから石材として利用。明治時代にはセメントの原料として採掘されるようになり、昭和40年代まで続いた。

第2次大戦中には、現在公園がある場所に軍事施設がつくられた。公園の入り口そばに掲げられた看板に「人間魚雷『回天』基地跡」と書かれている。記述によると、先の大戦の終わりごろ、艦船に体当たりする「回天」の出撃基地が設営され、「爆薬を充填(じゅうてん)した一人乗り潜水艇を操縦する特攻隊員(第16回天隊)が配属されていましたが、回天の配備が遅れ出撃することなく終戦となりました」とある。

看板は町教委が平成13年に設置した。町教委の担当者は基地の遺構は残っていないと説明し、「忘れてはならない歴史」と語る。

ダイビングも

付近の海はスキューバダイビングのスポットとしても知られている。地元のダイビングスクール「スクーバサポートサービスTRYS」の石引伸代表は「京阪神からは比較的近いので行きやすく、日帰りでも楽しめる。海も比較的きれいで四季折々の魚を見られる」と魅力を説明する。

和歌山県水産試験場の担当者は「この海域は春になると、栄養価が高い瀬戸内海の海水が入り、シラス漁場となる」という。透明度については「冬はほかの季節より高くなる」と話している。(張英壽)

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