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あべのハルカスを背景にライオンやキリン 都会に感じる野生の息吹き 園長は獣医さん

産経ニュース / 2024年6月22日 14時0分

通勤時に、天王寺動物園近くの「一心寺」の裏道を歩いていると、青い花を咲かせるジャカランダの木がこの時期満開となります。空の青さと花の青紫のコントラストが面白く、毎年楽しみにしています。

今回は、サバンナゾーンの肉食獣エリアのお話です。

平成7年に策定されたZOO21計画に基づく、ライオン、ブチハイエナなどの展示エリアです。平成18年9月に完成し、これでカバ、クロサイ、草食動物エリアを含め、1万7千平方メートルのアフリカサバンナゾーン全体がグランドオープンしました。東アフリカの生息地を模してつくられ、生態的展示を目指した施設になっています。

基本計画段階では、東アフリカのケニア・タンザニア地域において景観調査が行われ、その調査結果を基に展示シナリオが作られています。架空の「ンザビ国立公園」のエコツアーをするというシナリオです。

動物展示ではガラスバリアーのビューイングシェルターを設けて間近に迫るライオン、ブチハイエナの展示を行うことや、モート(堀)を活用しながら肉食動物の背後に草食動物が同時に見られる景観づくりを行っています。そして、花崗岩(かこうがん)の岩山(コピエ)の上へと向かう坂道を登り、サバンナテラスへ踏み出すと、視線の先にはキリン、グラントシマウマ、エランドが悠然と歩く草原の広がりを望むことができます。

ライオンやブチハイエナが、キリンやグラントシマウマと堀(幅7メートル、深さ5メートル)で隔離されているのですが、この堀が隠されているので、同じ展示場で飼育されているように見えます。

また、動物福祉向上のための取り組みである環境エンリッチメントの面では、冬の寒さ対策のために擬岩内にはヒーターを埋め込み、夏の暑さ対策としては、スポットクーラー、水浴び場を設置し、ガイド時に使用するための餌投入口も設置しています。

ライオン舎には、屋内展示場も設け、夏の暑い日や、雌ライオンの発情時に分離飼育しなければならない時など屋内に収容し、ガラス越しに間近にご覧いただけるようにも工夫しています。

ライオンの屋外展示場から「あべのハルカス」を望むビューポイントは、都会の高層ビルを背景にライオンがいて、その後ろにキリン、グラントシマウマ、エランドがいるという日本でも他に類のないパノラマ展示となっています。ぜひ、サバンナに生息する動物たちを意識してご覧になってください。(天王寺動物園園長・理事兼務 獣医師 向井猛)

むかい・たけし 神奈川県藤沢市出身。北海道大大学院獣医学研究科修士課程修了後、札幌市の円山動物園で獣医や職員として勤務した。令和3年4月から天王寺動物園園長。漫画『動物のお医者さん』に「M山動物園の向田獣医」として登場した。

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