戦争原因は「時代の指導者の不遜な思い」 79年前の広島で被爆体験した88歳女性が平和訴え 東大阪
産経ニュース / 2024年8月9日 18時18分
79年前の広島市で原爆被害に遭った大阪府東大阪市の藤本勝子さん(88)が、同市役所で市民らを前に「原爆体験のおはなし」と題した講演を行った。戦争で人間が「怖いことが怖くなくなるのはすごく怖い」と語り、21世紀の現在も世界各地で戦争が起きる原因は「時代の指導者の不遜な思いからではないか。いけないことだと心で念じ、子供たちが平和な時代を過ごせるように切に祈る」と強調した。
こうした講演は、東大阪市の平和事業の一環。藤本さんは国民学校初等科4年(現在の小学4年)だった昭和20年8月6日朝、疎開先から一時的に帰省していた広島市の実家で被爆した。米爆撃機B29が飛行する音が聞こえ、家から外の様子を見ると「ピカーッと異様な光」を感じ、同時に爆風で家が崩れた。
実家は爆心地から約1・3㌔と近い。下敷きになった藤本さんは「『助けて』と言っても誰も助けてくれない」との混乱ぶりで、空が見えた隙間から「体が血だらけになりながら、自力で脱出した」と話した。
原爆で、藤本さんは10代の姉2人をはじめ、家族や親戚、知人らを亡くした。
氷を買いに行った姉は、爆風で女の子が飛んでいったとの目撃情報があるだけで行方不明となり「どこで死んだかわからない」(藤本さん)。もうひとりの姉は原爆ドーム近くで被爆し、全身のやけどで「姉が『痛い』と言うが、赤チンを塗ってあげるぐらいの治療しかできなかった」との状況で、終戦後の8月17日朝に亡くなったという。
藤本さんは日本が終戦を迎えた8月15日の「感激は忘れられない」と振り返り、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の憲章前文にある「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」との一節を紹介していた。
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