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ナチスの興亡「映像の世紀」に揺さぶられ 全方位ch

産経ニュース / 2024年6月15日 9時30分

眠るように横たわる6人の子供の遺体のそばに、焦げた成人男女の焼死体―。ずいぶん前に録画していたNHKのドキュメンタリー「映像の世紀プレミアム」の「ナチス 狂気の集団」を見ていて、一瞬映し出された映像に衝撃を受けた。

それはアドルフ・ヒトラー率いるナチス・ドイツの宣伝大臣、ヨーゼフ・ゲッベルスと妻のマクダ、そして無理心中の犠牲になった12歳から4歳までの子供たちの最期の姿だった。

ゲッベルスといえば、弁舌巧みなプロパガンダでナチスの思想を広めた最高幹部の一人だが、まさか実子を道連れに心中していたとは、この映像を見るまで知らなかった。

番組では、ナチス・ドイツの誕生から破滅までを追った。国家元帥として軍のトップにいたへルマン・ゲーリング、ユダヤ人移送の中心人物であったアドルフ・アイヒマン、親衛隊長官のハインリヒ・ヒムラーといった最高幹部たちが逃亡したのに対し、ヒトラーと最後まで運命をともにしたゲッベルス一家の姿は異彩を放っていた。

そんな一家が気になって仕方なく、関連本をあれこれと手に取ってみた。

妻のマクダはヒトラーが当時独身だったため、”ファーストレディー”の異名を取っていたようだ。ゲッベルスとは再婚で、彼との間に1男5女をもうけた。金髪で碧眼(へきがん)のアーリア美人であるマクダと愛くるしい子供たちは、ナチスが理想とする家族として雑誌やニュース映像に繰り返し登場し、プロパガンダに寄与したのだった。

1945年4月30日、ソ連軍の包囲網が迫るベルリンの地下壕で、ヒトラーは寄り添うエバ・ブラウンとともに、自らの命を絶った。ゲッベルス一家が後を追ったのは翌日。マクダは直前、周囲から子供たちを逃すようアドバイスをされたが、頑として受け入れなかったという。

ユダヤ人の大量虐殺というホロコーストの残酷さを知り抜き、わが子に危害が及ぶことを危惧したのだろうか。一方でアイヒマンやゲーリングらの子供たちが戦後を生きたことを思えば、複雑な感情を抱いてしまう。そして、20世紀の社会を記録した「映像の世紀」シリーズが映し出すモノクロ映像には、どんな言葉を尽くしても及ばない衝撃と、心を揺さぶる力があるように思う。(由)

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