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ロコモ予防 無理のない筋肉トレーニングと必須アミノ酸 痛み学入門講座

産経ニュース / 2024年10月5日 14時0分

「脚の力が弱ってきたんです」「階段の登り降りがきつくってね」-。年配の患者さんから、こういう訴えを聞くことが多い。この場合、「年ですねえ。私もですよ」と答えることになる。

団塊の世代が後期高齢者となる2025(令和7)年問題があちこちで取り上げられている。中高年をターゲットにしたテレビコマーシャルでは「この○○に出会って歩くスピードが速くなった」「○○を飲んでから階段が苦にならなくなった」などの歌い文句が並んでいる。なるほど、年配の方が飛びついてもおかしくはない。私の外来に通って来られる患者さんの中にも「○○を試してみようと思うんです。テレビでやってたし、知合いのおばちゃんも勧めるもんやから…」と探りを入れてこられる方は多い。

この点を巡って「ロコモティブシンドローム」「フレイル」「サルコペニア」との単語が世の中に溢(あふ)れている。つまり、脚の衰えを感じ始めると、外に出ることがおっくうになることでロコモティブシンドロームやフレイルとなり、加齢による筋肉量の低下によってサルコペニアとなる、と考えていただくと理解しやすいと思う。

日本整形外科学会では、ロコモティブシンドローム(運動器症候群=通称ロコモ)について「運動器の障害のために移動能力の低下を来(きた)した状態であり、進行すると介護が必要となるリスクが高まる」としている。ここでの運動器は身体を動かすために働いてくれている組織や器官であり、障害があると、慢性疾患の罹患(りかん)率、さらには死亡率が高くなると考えられているのだ。

フレイルとは、海外で用いられてきた「frailty(虚弱)」を語源としており、①体重減少(年に4・5キロ、ないしは5%以上)②疲れやすさ③歩行速度の低下④握力の低下⑤活動量低下のうちで3項目が当てはまるものとしている。

サルコペニアは、加齢性筋肉減少症、つまりは加齢によって骨格筋量が減少、筋力が低下して、歩行能力が低下している状態を意味するが、四肢の骨格筋(横紋筋(おうもんきん)のうち、意識によって収縮、弛緩(しかん)を行うことができる筋肉=随意筋と呼ぶ)の急激な減少がその基準となる。

さて、ロコモを予防するには、無理のない範囲での筋力トレーニングと、必須アミノ酸を摂(と)ることが効果的である。アミノ酸はタンパク質の構成成分であるが、これらのうち、体内で作ることができない約半数が、必須アミノ酸(9種類、魚や肉、卵、大豆製品などに多く含まれている)であり、特に筋肉のタンパク質の合成を促すロイシンが重要となる。となると、スマホでロイシンを多く摂れるレシピを検索してみるのもひとつの手かもしれない。

森本昌宏(もりもと・まさひろ) 祐斎堂森本クリニック(06・4800・3010)顧問。平成元年、大阪医科大学大学院終了。同大講師などを経て、22年、近畿大学医学部麻酔科教授、31年、大阪なんばクリニック院長。令和6年4月から現職。日本ペインクリニック学会名誉会員。

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