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負けず嫌い、「剛腕」西山朋佳女流三冠 10日から編入試験、棋界初の「女性棋士」なるか

産経ニュース / 2024年9月9日 19時0分

将棋で初の女性棋士を目指し、大阪府大阪狭山市出身の西山朋佳女流三冠(29)が、10日から編入試験五番勝負を受験する。女性の受験は、不合格となった福間香奈女流五冠(32)に続き2人目で、過去に女性が棋士になった例はない。指し手の力強さから「剛腕」の異名を取る女流棋界の第一人者の挑戦に注目が集まる。

師匠「勝負事は全て一生懸命」

「とにかく負けず嫌い」と西山朋佳女流三冠を評するのは、奈良県大和高田市で将棋教室を営む師匠の伊藤博文七段(64)だ。

西山女流三冠が大阪府羽曳野市にあった伊藤七段の将棋教室の門をたたいたのは10歳の頃。当初は体調の関係で欠席しがちだったが、「ある程度上達すれば、師匠は面倒を見なくてもいい」というおおらかな方針のもと、次第に教室に来る回数は増えていった。

将棋教室時代は「序盤は弱く、後半での逆転勝ちが多かった」という。負けん気は強く、休憩時間に子供を集め、手を重ねて一番下の子が手を抜いたタイミングで上側の子供の手をたたくゲームをしても、「大人が痛がるほど本気でたたいた。勝負事は全て一生懸命だった」と明かす。

平成22年に棋士養成機関「奨励会」に入会。27年に女性として史上2人目の三段に昇り詰めたが、女流棋士として26年の第4期女流王座戦五番勝負で、加藤桃子女流四段に開幕3連敗を喫した。

敗退した翌日、西山女流三冠は奈良市内で伊藤七段と会い、「来年は出ない」と引退を口にした。伊藤七段は「このまま辞めたら『根性なし』と言われるだろう。せめて加藤さんからタイトルを奪って、返上して辞めてもかまわないんじゃないか」と説得した。

西山女流三冠の初タイトルは30年5月。第11期マイナビ女子オープン五番勝負で挑戦者として加藤女流四段に挑み、逆転で「女王」を獲得した。伊藤七段は「本当に加藤さんから取るとは思っていなかった。やっぱり勝負にこだわりがあるのかな」と振り返る。

令和2年、引退した伊藤七段の記念パーティーが新型コロナウイルス禍で見送られた。すると2年後、西山女流三冠は将棋教室の仲間に声をかけ京都の料亭で開催を実現した。「負けず嫌いだが思いやりもある。初の女性棋士を目指すことで注目されているが、そういうところが人気を集めているんじゃないか」。伊藤七段は、棋界初の快挙を目指す弟子の躍進に期待を込めた。(平岡康彦)

棋士は女流棋士と別制度。養成機関「奨励会」で三段になり、強敵ぞろいの「三段リーグ」で上位2人に入れば棋士になれるが、年齢制限がある。このほか、新人棋士5人と対局する編入試験で合格(3勝)すると棋士になれる。

西山女流三冠は奨励会三段に昇段した経歴の持ち主。令和2年には三段リーグで14勝4敗の好成績を収めたが3位に終わり、翌年奨励会を退会した。女流棋士枠のある公式戦で13勝7敗を挙げて規定を満たし、編入試験の受験資格を得た。

「週刊将棋」元編集長で大阪商業大公共学部助教の古作登さんは「最近の男性棋士との対局を見ても西山女流三冠は力強いが、独特のプレッシャーもかかる。対局相手は厳しい三段リーグを抜けてきた棋士たちで、五分五分だろう」と話した。

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