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教員確保に苦戦、「講師」不足で 大阪府が採用試験で経験者優遇

産経ニュース / 2024年7月9日 18時55分

子供たちの学びを支える教員の不足が全国で深刻化している。大阪府内でも6月1日時点で、政令市と北摂・豊能地区を除く36市町村の公立小中学校の欠員は153人に上り、前年同期の1.5倍に。欠員を補う講師(非正規教員)が足りていない状況が続いており、府教育庁は教員採用選考で講師経験者を優遇する受験枠を新設するなどして講師の確保に乗り出している。

1次試験免除

大阪市内で3日に開かれた府教育庁の講師希望者登録説明会。参加者の多くは教員免許取得を見込む大学生で、リクルートスーツ姿の真剣な表情で説明に耳を傾けていた。

同庁は、現在実施中の令和7年度府公立学校教員採用選考テストから選考方法を大きく変更。講師経験が1年以上ある受験者の1次試験を免除することにした。

来年度の選考を見据えて講師登録を検討する参加者は多く、4年の男子学生(21)もその一人。今年度の選考は残念ながら不合格となったが、「大阪で教員になりたい」と来年度も受験予定で、「講師として経験が積めて、試験免除というのは大きい」と話した。

同庁はほかにも、教員免許を保有しながら、長く教育現場を離れていた人や、指導経験のないいわゆる「ペーパー教員」を掘り起こそうと、最新の教育事情を学べる「教員スタートアッププログラム」を4年度からスタート。これまでに約50人が講師として教壇に立っている。

年度中に増加

教員の欠員数は、年度初めより年度終わりの方が多い。出産や病気などで年度途中から休職する教員が出るためで、同庁のまとめでは4年度の小中学校の欠員は5月1日時点で53人だったが、3月1日時点では249人にまで増えた。

今年度は6月1日時点ですでに153人の欠員が出ており、昨年同期(100人)の1.5倍にあたる。担当者は「年度が始まって間もない時期でこの数字は例年にない多さだ」と危機感を募らせる。

同庁によると、教員の世代交代で若返りが進む現場では、出産する女性教員が増え、また育児・介護休業法の改正などで育休を取得する男性教員も増えているという。

70代講師が担任も

「慶事なのに心から喜ぶ余裕がなかった」。府内のある小学校の校長は、4月に女性教諭2人から相次いで妊娠を報告されたときの心境をそう語った。「産休に入る秋からの担任業務をどうすればいいのか」と頭を悩ませる。

というのも昨年度、病気休職で欠員が出た際、講師の確保に難航したからだ。校長自らツテをあたって探し回り、70代の講師に頼み込んで現場復帰してもらったが、担任業務や行事、部活で疲弊した高齢の講師から「来年度は勘弁してほしい」と言われたという。

「ほかの学校も人手が足りず、講師の争奪戦になっている」とこぼし、秋の講師補充に不安をもらした。

同庁の担当者は「教員採用で不合格となり、一般企業に流れる人は多い。府の教員を一度は志してくれた人をまずは講師としてつなぎとめたい。そこからもう一度、選考にチャレンジしてほしい」と話している。

大阪市は欠員対応で新制度 「特別専科教諭」を配置

大阪市教委は、年度途中での欠員に対応するため、市が独自に正規教員として採用した「特別専科教諭」を配置する制度を今年度から始めた。

市教委によると、市内の小中学校では毎年70~80人の欠員が出ている。特別専科教諭は、年度当初の配属先では学級担任を持たずに勤務し、途中で欠員が生じた他校に勤務先を変更して学級担任などを受け持つ。主に新規採用者を充て、1年目の4月から担任を持たないことで若手教員の負担軽減にもつなげる。

今年度は小学校で50人、中学校で15人を採用。来年度以降は小学校100人、中学校30人を充てる。

市教委によると、7月1日時点で小学校で35人、中学校で5人の欠員が出ており、2学期から特別専科教諭の勤務先を変更して補充する。(木ノ下めぐみ)

大阪府教育庁の講師希望者登録説明会は10日午後3時から大阪教育大学天王寺キャンパス(大阪市)、18日午後1時から北河内府民センター(枚方市)でも開催される。問い合わせは教職員人事課(06・6941・0351)。

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