1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

信頼を寄せ合う中井貴一×キムラ緑子、朗読劇「終わった人」は定年から始まる再生の物語

産経ニュース / 2024年7月5日 7時30分

自分のため、家族のため、仕事を生きがいにしてきた団塊の世代のサラリーマンにとって、定年は死刑宣告に等しいのか-。シビアな問いをユーモアたっぷりに描いた内館牧子のベストセラー小説を舞台化したリーディングドラマ(朗読劇)「終わった人」(台本・演出、笹部博司)が7月、大阪と兵庫で上演される。演じるのは互いに厚い信頼を置く中井貴一とキムラ緑子。ドキッとするような容赦ないタイトルだが、中井は「大人たちの再生の物語になればいいかなと思います」と優しくほほ笑む。

中井絶賛のキムラ「すごくないですか」

大手銀行でエリートコースを走っていた壮介(中井)は50歳を前に出世競争に敗れ、子会社で不満を抱えたまま定年となる。鎧も武器も取り上げられた「元企業戦士」は、退屈な日々への焦りとプライドのはざまで、新たな恋に、仕事にともがく。

昨年、東京など関西以外の8都市で初演した際、中井が出演を決める第一条件に挙げたのが、「相手役がキムラ緑子であること」だったという。

壮介一役の中井に対し、相手役は妻や若いガールフレンドなど、壮介をとりまく4人の女性を演じ分ける必要がある。「緑子さんは『化けられる人』。すっと(役を)替われて力みも感じない。この人しかいないと思った」と中井が絶賛すると、キムラは「私このプレッシャーの中で去年やったんですよ。すごくないですか?」と笑わせた。

人生100年時代の定年はサラリーマンには酷なもので、残りの時間を終活に費やすにはまだ早い。「終わった人」という言葉の意味を中井は、「人間としてはまだ終われないのに、社会の中で肩書を奪われるということが、自分の死に等しく感じてしまうんだと思う」と解釈する。

俳優という職業に定年はないが、「期間としての定年はなくとも、能力としての定年は迎えないといけない時が来る」と中井。若い頃は立て板に水のようにせりふを語っていた先輩たちが、「今共演するとつっかえつっかえになっている。僕らにもその時は絶対に来るんだと、明確に突き付けられていると最近感じる」。

キムラも「いつでもできると思っていた役が『あ、私の年齢ではもうだめなんだ』ということが最近もあった」と明かす。「誰しもバリバリと自信を持ってやれていた時代が確実にあって。そこからだんだん外れて、自信が薄れていくのが『終わっていく』ということだと思います」と話す。

壮介は「終わった人」というレッテルをはがそうとあがく。あがいた末に待つ希望のあるエンディングが気持ちいい。

キムラは「いろんなことは細かく終わっていくんだけど」と前置きした上で、「死ぬまで何かにチャレンジして、『自分の人生を生き続けるんだ』と思えれば、『終わらない人』になれるのかな」と語った。

13、14の両日は大阪市中央区の森ノ宮ピロティホール、15日は兵庫県西宮市の県立芸術文化センターで。キョードーインフォメーション(0570-200-888)。(田中佐和)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください