「電子投票」約8年ぶり大阪・四條畷市で 本格普及への試金石、作業迅速化の切り札なるか
産経ニュース / 2024年12月5日 20時30分
大阪府四條畷市長選と市議補選(15日告示、22日投開票)で、国内で約8年ぶりの電子投票が行われる。電子投票は開票作業迅速化の切り札として約20年前に地方選挙で導入可能となったものの、機器トラブルが相次ぐなどして途絶えていた。今回は市販の汎用(はんよう)タブレット端末の使用が可能になって初の電子投票。デジタル化が進展するなか、本格的な普及につながるかの試金石となる。
「投票は画面の3回タッチで済みます」。5日、報道関係者向けに四條畷市役所で開かれた説明会で、電子投票システムを納入する京セラや市選挙管理委員会の担当者が説明した。
電子投票は、投票用紙ではなくタブレット端末で投票。立候補者の選択画面から投票先をタッチし、確認画面を改めて押すなどして完了となる。
タブレット端末はパスワードを入力しなければ次の人が投票できない仕組みで、投票者が訪れる都度、市職員がパスワードを入れる。投票結果は、タブレット端末ごとにUSBメモリーとバックアップ用のSDカードの2種類で記録。記録媒体が開票所に運ばれ、集計される流れだ。
市はデジタル化と職員の働き方改革を進めようと今夏、電子投票の導入を目指した関連条例案を市議会に提案し、可決された。電子投票は開票時間が短くなるほか、疑問票や無効票の解消につながるメリットがある。
同市では前回(令和2年12月)の市長選と市議補選で開票作業に職員88人が携わったが、今回は30人程度に削減。約1時間40分を要した開票作業は、具体的なめどを示していないものの「大幅に短縮できる」とする。
電子投票は平成14年2月、地方選挙対象の電磁的記録投票法が施行され、同年6月に岡山県新見市が全国初の電子投票を実施。28年1月の青森県六戸町議補選まで10自治体で25回実施された。
一方で、15年7月の岐阜県可児市議選では機器が故障し、17年に選挙無効が確定。ほかにも、選挙結果は有効とされたが15年の神奈川県海老名市長・市議選でも開票トラブルが発生し、敬遠する動きも広がった。
総務省は18年、システムの安全性などを審査する仕組みを導入。さらに令和2年3月、市販のタブレット端末など汎用品でも適合すれば使用可能とするよう、指針を改定した。四條畷市は汎用品を使う初の事例で、京セラの担当者は「汎用品なので、故障しても別の端末にすぐ交換できる」と説明。市は約200台を用意して対応する。
今期で退任する東修平市長は「失敗すれば電子投票の普及は再び遠のく。市職員の働き方改革などを踏まえ、統一地方選などでの実施につながる事例にしたい」と話す。(西川博明)
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