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竹内力様もぼったくられ…時代とともに「悪役(ワル)」は変わりゆく 全方位ch

産経ニュース / 2024年7月13日 9時30分

深夜に何げなくテレビをつけたら、屋内なのにトレンチコートに中折れ帽、しかも金髪というツッコミどころ満載の竹内力さんが、バーで50万円をぼったくられていた。

「かっこいいスキヤキ」というドラマで、人気シリーズ「孤独のグルメ」の原作者、久住昌之さんが21歳のときのデビュー作が原作だという。強面(こわもて)で寡黙。なのに心の中ではずっとくだらないことをしゃべっている竹内力さん演じるジェームス本郷のインパクトが強すぎて、思わず残りの放送回を録画予約した。

竹内さんといえば、「難波金融伝・ミナミの帝王」だろう。平成の時代、関西ではたまに週末の午後に放送されていたのだが、京都で品行方正な学生生活を送っていた10代の私を夢中にさせたVシネマの名作だ。

高利貸の萬田銀次郎は、一般人には絶対に着こなせない色や柄のスーツをまとい、どぎつい大阪弁で、債務者や黒幕を容赦なく追い詰める。善人ではないが筋は通り情もある。胸がすくダークヒーローで、竹内さんのことは敬意を込めて「力様(りきさま)」と呼んできた。最近多いおちゃめな役の力様もいいが、やっぱり顔面から覇王感漂う竹内力が一番すてきだ。

そういえば、5月に中尾彬さんが亡くなったとき、任侠映画で共演経験のある中井貴一さんがこんなことを言っていた。「悪役というか、見た目で『悪い』という俳優さんが少なくなっている。その中で、中尾さんは稀有な存在でした」

確かに竹内さんや小沢仁志さん、白竜さんらのような、登場するだけで破壊的なにおいと男気を漂わせることができる俳優は今や希少だ。最近の映画やドラマの悪役(ワル)はサイコパスや半グレのような不良たちが主流で、顔つきも「得体の知れない気味の悪さ」やチンピラ感が強い。

「カタギ」のような言葉で明確に分けていた裏社会と一般社会の境界があいまいになって、犯罪の質も変わり、現実でもドラマでも一見どちらの世界の住人か分からない人が暗躍することが増えた。かつてのVシネマで活躍した俳優たちの「悪い顔」の中ににじむ義理や人情の温度感は、今の非情な悪役にはない。

だいたい、泣く子も黙る力様から笑顔で50万円もぼったくろうだなんて、令和の悪人たちのしたたかさには背筋が凍る。(佐)

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