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変幻自在のエンケン劇場「民王R」 イマドキTV+

産経ニュース / 2024年11月9日 8時30分

コメディードラマ「民王R」(テレビ朝日系)は、池井戸潤さんの同名小説を映像化した「民王」(平成27年放送)の続編。でも今度は原作とは少し違うようで「インスパイアード・バイ・池井戸潤」と表記されている。設定だけお借りしてますよ、ということらしい。

その設定はというと、SFの定番である入れ替わりモノ。振り返れば映画「転校生」に始まって大ヒットしたアニメ「君の名は。」など、老若男女さまざまな人たちが心と体をチェンジしてきたけれど、本作で入れ替わるのは内閣総理大臣だ。

政権与党の支持率が低迷する中で総裁選を制した武藤泰山(遠藤憲一さん)だったが、その直後に大学生の息子と中身が入れ替わってしまって大騒ぎ…というのが前作。

9年後の続編は、物語上の設定も9年後。そろそろ政界を退こうと考えていた武藤が、再び総理に返り咲く。そして、やっぱりまた入れ替わりが起きてしまう。第1回でチェンジした相手は公設秘書になったばかりの冴島(あのさん)。ストーリー上は永田町の論理に染まり切ったベテラン議員と、政治に夢を抱く若者とのコントラストがうまく描かれていたけど、まぁそれはどうでもいい。いや、どうでもよくはないけれど、本作の見どころは何といっても入れ替わり演技だろう。

あのさんは中身が遠藤さんであるかのように演じ、遠藤さんはあのさんっぽさを出そうとする。言ってみれば、モノマネ対決。外見はそのままなので、所作と声色を工夫するしかない。しかも物語の上では「入れ替わりがバレちゃいけない」という演技も要求されたりする。

今回は、武藤総理が毎回さまざまな人と入れ替わるという趣向のようで、あのさんに続いて第2回は犯罪現場にいた若者だった。第3回はなんと5歳児と。なるほど、ギャップがあるほど面白いのかも。

どんな相手でも憑依させちゃう遠藤さんの変幻自在ぶりは、さすがの一言。〝エンケン劇場〟が毎週の楽しみになりそう。(ライター 篠原知存)

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