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地域の読書文化盛り上げたい…西日本の人気作家舞台に立つ 66年ぶり文士劇へ白熱稽古

産経ニュース / 2024年9月3日 12時0分

明治期に始まり130年以上の歴史を持つ、作家らが役者となる文士劇が今秋、大阪で66年ぶりに開催される。関西、九州在住の作家たちが「なにげに文士劇2024」を旗揚げ。出版社が東京に集中する中、地域の読書文化を守ろうと執筆の合間をぬって集まった16人の文士たちの、白熱した稽古場をのぞいた。

せりふ覚えに奮闘

演目の「放課後」は、東野圭吾さん原作の、高校で起きた殺人事件をめぐる学園ミステリー。8月中旬、大阪市内で台本の読み合わせが行われた。

慣れない作家らによる緩やかなテンポで進められ、「長いせりふが覚えられるか不安」といった声も。主役の教師役を担当する東山彰良さんは、「重要なせりふと、そうでないもののメリハリをつけて覚えていこうと思う」と話した。

校内一の問題児を演じる湊かなえさんは、「せりふを紙に書いて、受験生のようにチェックシートを使って頭にたたき込みたい」。生徒指導部長役の黒川博行さんは、「ものすごくかんでしまった。滑舌がよくないので本番までに練習してちゃんとしゃべりたい」と意気込んだ。

地方から発信

文士劇開催のきっかけは、2年半前に遡(さかのぼ)る。関西在住の朝井まかてさんと澤田瞳子さんが、親交のあった故葉室麟(はむろりん)さんの墓参で福岡県を訪れた際、県内在住の高樹のぶ子さん、東山さんと、昔盛んだった文士劇について盛り上がった。旗揚げを決意した朝井さんは「筆一本で勝負する作家が舞台に立つことで、読者とリアルな時間や空間を共有したい」と語る。

かつて作家はデビューとともに出版社の多い東京に移るケースが多かったが、インターネット社会の昨今、地方在住の作家が増えてきている。そこで、「文士劇を通して西日本の文化を盛り上げたい」と、関西、九州在住の作家や画家、書店員らに声をかけたところ、16人の文士が集まった。

実行委員会の委員長を務める黒川さんは、「文士劇にはユーモアがあり、作家たちが真面目に演技に取り組む姿が面白いのだと思う」と話す。

公演の支援募る

実行委員会では、旗揚げ公演の支援を募るクラウドファンディングを今月13日まで実施中だ。公演は一度きりの予定だが、利益を少しでも出すことができれば2年に1度の開催へとつなげていきたいという。

朝井さんは、「文士劇文化を関西に根づかせることで、小説が好きな人や、演劇が好きな人を楽しませ、幅広い創作への刺激にもなればと思う」と語る。(横山由紀子)

文士劇「放課後」

公演は11月16日午後4時、大阪市北区のサンケイホールブリーゼで開かれる。出演者と役は、東山彰良(数学教諭の前島)▽湊かなえ(生徒)▽矢野隆(生徒)▽高樹のぶ子(生徒)▽蝉谷めぐ実(生徒)▽上田秀人(生徒)▽黒川博行(生徒指導部長)▽百々典孝(体育教諭)▽木下昌輝(理事長・校長)▽小林龍之(教頭)▽澤田瞳子(国語教諭)▽黒川雅子(養護教諭)▽玉岡かおる(英語教諭)▽朝井まかて(校務員)▽門井慶喜(刑事)▽一穂ミチ(前島の妻)。

一般チケットは完売、25歳以下が対象のチケット(5千円)のみ残席わずか。公式ホームページ(https://nanigeni-bunshigeki.com/)。

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