平成描く朝ドラ「おむすび」で阪神大震災 神戸出身の新納慎也さん起用「感情を芝居に」

NHK大阪放送局は今年秋スタートの連続テレビ小説（朝ドラ）「おむすび」で、ヒロインが幼少期を過ごした神戸を舞台に、平成7年1月17日の阪神大震災を描くことを明らかにした。来年、発生から30年になる阪神大震災は記憶の継承が課題になっている。ドラマ制作に当たるNHK大阪放送局の宇佐川隆史・制作統括は「今こそ描く意味がある」と語った。

同作は「ギャル文化」と出合ったヒロイン・米田結（橋本環奈さん）が成長する姿を通じ、平成という時代を描く。宇佐川制作統括によると、震災を描くことについて「朝ドラで真正面から震災を描いてもいいのか。見ることができない人もいるのではないか」と葛藤もあったという。

物語は福岡・糸島で暮らす結の高校時代からスタートする。「神戸編」は栄養士を志す結の背景として、神戸にいた幼少期を振り返り、父・聖人（北村有起哉さん）が理髪店を営む自宅で被災したことや、避難所の様子、復興に奔走する人々の姿も描く。

米田家と交流のある人々として商店街の店主らに緒形直人さん、キムラ緑子さん、内場勝則さん、岡嶋秀昭さんを起用。震災発生後の避難所となる小学校の教師には、お笑いコンビ「ミルクボーイ」の内海崇さんを起用する。

また、神戸市職員役には同市出身の新納慎也（にいろ・しんや）さんをキャスティング。新納さんは震災が描かれることについて、「古傷がヒリヒリするような感覚を覚えた。それは『傷』でもあり、『誇り』でもある気がする」とし、「この感情を芝居に反映させつつ、力強く前向きになれるようなパワーある作品ができ上がれば」とコメントを寄せた。