浪商「牛島・ドカベン」バッテリー、PLの新井宏昌 「私学7強」輝いた大阪のヒーロー 甲子園球場100年
産経ニュース / 2024年6月20日 10時30分
春の選抜大会、夏の選手権大会と高校野球の全国大会の舞台となっている甲子園球場(兵庫県西宮市)が今年8月で開場100年を迎える。長い歴史で常に中心にいたのが地元の大阪勢。日本一の回数は春が12度、夏が14度といずれもトップ。聖地での試合を経験した「なにわのヒーローたち」のベストナインを独自に選び、年代別に4回にわたって紹介したい。自分流のベストナインを選んでみたり、打順を考えてみたりと楽しんでいただけたら。まずは1970年代からみてみよう。
牛島と香川
この年代で最もインパクトがあったバッテリーは浪商(現大体大浪商)の牛島和彦、香川伸行だろう。投手は細身でやんちゃな感じ、捕手は水島新司さんの野球漫画にちなんで「ドカベン」と呼ばれ、巨体を揺らしていつもニコニコ。ただ、試合になると牛島は抜群の制球力でキレのある速球を投げ込み、香川は軟らかいバットコントロールで、3試合連続を含む甲子園通算5本塁打を放つ長打力を存分に発揮し、チームを79年春は準優勝、夏もベスト4に導いた。
2人とともに下級生のころから試合に出ていたのが遊撃手の山本昭良。香川とともに長打力を発揮し、79年夏は2試合連続の本塁打を放った。
牛島はドラフト1位でプロ入りし、中日、ロッテで奮投。横浜(現DeNA)の監督も務めた。香川も南海(現ソフトバンク)に入団。2014年に52歳の若さで亡くなった。山本は南海にドラフト外で入団したが、1軍出場はなかった。
初の準優勝
1980年代に一時代を築くPL学園が70年夏、初の決勝進出を果たして準優勝。5割超の打率を残したのが新井鐘律(のちに宏昌)。プロで通算2038安打という「安打製造機」の片鱗(へんりん)を示した。このチームのエースは新美敏。甲子園準優勝投手として社会人に進み、プロの日拓(現日本ハム)では2桁勝利を挙げて新人王に輝いた。
79年春に4強に進んだPL学園の4番は小早川毅彦。法大を経てプロの世界に入った。
この年代はまだ、甲子園出場経験を持つ「私学7強」(興国、明星、PL学園、浪商、大鉄=現阪南大高、北陽=現関大北陽、近大付)がしのぎを削っていた。ベストナインには77年夏の3回戦で史上初のサヨナラ満塁本塁打を放った大鉄の川端正、70年春の北陽の準優勝に貢献した才田修、神垣雅行、73年夏に1年生ながらレフトで出場した北陽の岡田彰布(現阪神監督)らが入った。
逆転のPL
箕島(和歌山)が黄金時代を築いた70年代で、大阪が全国制覇を果たしたのは78年夏のPL学園だけ。準決勝の中京(現中京大中京=愛知)戦は九回に4点差を追いつき、延長十二回にサヨナラ勝ち。決勝の高知商戦は2点を追う九回に3点を挙げて再びのサヨナラ勝ち。「逆転のPL」といわれたチームの中心は西田真次(のちに真二)、木戸克彦のバッテリー。ともに法大を経てプロ入り。西田は打者として広島で活躍、木戸は阪神で85年の日本一を経験した。
西田、木戸のほか、ベストナイン選出外の選手では北陽のエース、岡田の2学年上の有田二三男の名を挙げたい。73年春は「怪物」といわれた江川卓(元巨人など)を擁する作新学院(栃木)と対戦し、敗れたが2失点完投。夏は3回戦の高鍋(宮崎)戦でノーヒットノーランを達成し、ベスト8に進出。同年秋のドラフトで2位指名されて近鉄に入団した。
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